PASSENGER/ROOSTERZ -1987-

  花田がパリで録りたいと言い出して、
  それは俺が知らないあいだに決まってた

  海外レコーディングは、バンドのリズム隊がまだ途中だったから、
  俺にとっちゃヤバイことだった

  凄かった。プロデューサーが耳打ちすんの。「このリズム隊ダメだ」って
  リズムがずれるから「タイコのフィルを叩かないでくれ」って
 
  その次は「ベースもダメだ」って言い出した
  ある日ベンツにベース一丁積んだミュージシャンが来て、
  一日で全曲録っていった

これらはアルバム『PASSENGER』(87)の、パリ録音についての下山淳の発言だ。
自分の知らないところで決まった話に加え、
リズム隊が弱いために海外では否定されるだろうと認識しながらも、
何故、花田についていったのか?
僕にとってのROOSTERZ最大の謎が、このパリ録音である。

  バンドでレコーディングに来ているのに、
  スタジオ・ミュージシャンと差し換えるのはどういうことよ?
  ってプロデューサーともめた

これが下山である。当然だろう。

     **********

  ディレクターと話してて、海外旅行もしたことなかったし、
  どっか行ってもいいって言うんでパリに行っちゃった
  
  パリではニール・ヤングのライヴも観れてラッキー

  自分としては旅の記録のようなアルバム

こちらは花田のパリ録音についての発言…。
何なんだよ、これ。
とても一緒にレコーディングをしていたメンバーとは思えない。
しかも「旅の記録」だという。
そんな軽いものなのか?
ROOSTERZというバンドのパリ録音作品じゃないのか?

しかし、これが末期のROOSTERZ…花田と下山だったのだ。

こうやって完成した『PASSENGER』は凄いアルバムである。
「タイコのフィルを叩かないでくれ」というプロデューサーの意向。
これが完璧に近い状態で守られているからだ。
所謂オカズと呼ばれるドラムのフィルはほとんど、いやまったく聴かれない。
全曲のドラムのパターンが ズンタン ズンタン のみなのである。
これは凄いでしょう。
もちろんこんなのは下山の言うとおりバンドの意味が無いし、
レコードが平坦に聴こえてしまう最大の要因だと思う。

曲によってはエンディングに♪タタタタタタタ というパターンが聴かれるし、
タイトル曲の「PASSENGER」では4~5箇所ほどフィルらしきものを聴くことができるし、
他の曲でも無理やりフィルにしてしまえるものもあるが、
言うまでも無くこれらはオカズになんて入らない。

「プロの仕事だ」と言ってリズム隊を否定したのに、
結果的には肝心のリズムに何の面白みも感じられない作品を作ってしまった。
プロデューサーであるMartin Meissonnier氏を理解することは、僕はできない。

最近のROCK'N'ROLL GYPSIESのライヴでは「PASSENGER」も演奏されている。
この曲を演奏するときの二人には、
今ではいったいどんな思いや景色が浮かんでいるのか?

     **********

  レコーディングが終わって帰ってくる時には、下山の怒りは感じた

花田もこう言っているように、パリでのバンド内の状態は認識はしていたようだ。
それにしても、良くこの時点で感情的にもつれてバンドが消滅しなかったと思う。

下山はここで投げ出さなかった。
彼は、花田と共にROOSTERZというバンドで傑作『FOUR PIECES』を作ったのである。
凄い男だ…と思う。


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PRIVATE CASSETTE SHOP

『PASSENGER』発表時、ROOSTERZ magazineといものをもらった。
内容は、パリでのレコーディング・レポ、各メンバーのプロフとインタヴューで構成されている。

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今となっては、リズム隊にとっての厳しいレコーディングであったことがファンには周知の事実であるが、
ここにはそんなことはまったく書かれていない。プロモーションのひとつなので当たり前なのだが…。
もちろん僕自身も、パリでそんな状態だったなんて想像すらしなかった。
結果としてアルバムのツアー後に灘友と柞山が脱退してしまうのだが、
実は当時パリから帰国直後に観たインクスティックでのライヴが最高で、
今でもこの時期のROOSTERZは好きである。

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『NEON BOY』『KAMINARI』の曲が中心だったが、
発売前だった『PASSENGER』からの新曲を数曲加えたメニュー。
更に『Φ』から大江ヴォーカル曲も取り上げていたが、
これが下山のギターをフィーチャーした当時のROOSTERZヴァージョンとなっており、
まったく違う曲に生まれ変わっていた。
この時期のライヴは演奏された曲のチョイスも各アルバムからバランス良く選ばれ、
本当に僕好みであった。

  ※今見たらチケットには「チケットぴあCSV渋谷」とあった。懐かしい!
    いいレコード屋だったなぁ。ちなみに僕はここで花田のトーク・ショウを観た(笑)。

さて、このROOSTERZ magazineだが、
何故だか最後に「PRIVATE CASSETTE SHOP」というタイトルで、
メンバーが1本(おそらく46分)のカセット用に選曲したものが記載されている。

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当時はこれが実に興味深くて、実際に自分の音楽ライフにも役立った。
まずは花田裕之下山淳のものを紹介します。

●花田裕之/MY FAVOURITE SONG
Aside
1.Wild Side/LOU REED
2.All Or Nothing/SMALL FACES
3.Love And Emotion/MINK DEVIL
4.Brank Generation/RICHARD HELL
5.Silver Ballet/CHRITH SPEDING

Bside
1.Like A Haricane/NEIL YOUNG
2.Love Theme/BRADE RUNNER
3.Passenger/IGGY POP
4.Stick To Me/GLAHAM PERKER

実に花田らしい選曲だと思うが、
ブレードランナーのサントラから選ばれているのがポイントだったなぁ。
AB面共に1曲目は言わずもがなだが、リチャード・ヘルは結構意外な感じがしたものだ。
イギー・ポップのこの曲はここで知った。これは名曲です。

●下山淳/ANTHOLOGY ‘72~73
Aside
1.Do The Strand/ROXY MUSIC
2.The Groover/T.REX
3.Hell Razer/SWEET
4.Jean Genie/DAVID BOWIE
5.Honaloochie Boogie /MOT THE HOOPLE

Bside
1.瞳の中の愛/TODD RUNGLEN
2.Black And White/THREE DOG NIGHT
3.うつろな愛/CARLY SIMON
4.Schools Out/ALICE COOPER
5.Hello It’s Me/TODD RUNGLEN

納得だったり意外だったり…だったが、A面冒頭の2曲の流れは最高。
T.REXのこの曲は、もっと日本で人気が出てもいいと思うんだけどな。
僕は少なくとも「Get It On」よりは好きです。
ここではトッド・ラングレンが2曲選ばれているのがポイントかな。
72年、73年に限らず、70年代の下山的アンソロジーは今でも興味がある。
しかし、どうして邦題が2曲だけあるんだろ(笑)。

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FOUR PIECES LIVE/ROOSTERZ -1988-

週末に久しぶりの友人と会った。
会うのはいつ以来になるのか僕は憶えていなかったのだが、
友人はそのことも含め過去の出来事やエピソードなんかもそれなりに記憶していた。
『DADA』とか『GLAD ALL OVER』の時期辺りから会っていなかったらしいので、
かれこれ13~14年ぶりということになる。

そいつと当時はチャボや麗蘭のライヴに良く行った。
僕はほとんどライヴは一人で行くタイプなのだが、
何故だか一緒に行くことも多かった。
好きな音楽が似ていたというのが一番の理由だろう。
昔から、そして今でもそうなのだが、
好きなバンドやミュージシャンの話ができる人は少ない。
今でこそ周りには何人かの友人がいるけれど、昔はほとんどいなかったに等しい。
そんな状態だったから、
チャボの話をすることだけできっと僕(達)は楽しかったのだろう。

僕達が初めて会ったとき、そいつは18才だった…というのには驚いた。
でも、そりゃそうだ。そのときは僕がまだ20代だったんだもの。
また、そいつが音楽にまだあまり詳しくないということを聞いた僕は、
いきなり「これを聴け」と90分テープ3本を渡したらしい。
何を入れたのかはもはや記憶に無いが、
ストラングラーズとクラッシュは収録されていたようだ(笑)。
また、初めて僕の家に遊びにきたときに聴かされたのが、
モッズとカルメン・マキ&OZだって(笑)。
モッズのアルバム名は不明だが、おそらく1stか3rdだと思う。
マキOZは『ライヴ』だったらしい。それにしても凄いカップリング…。

さて、一緒にライヴを観に行ったことは無かったのだが、
僕達にはチャボ以外に共通する好きなバンドがあった。
ルースターズだ。もちろんROOSTERZ…Zだ。
当時のそいつは下山淳が大好きで、
僕も一番のめり込んでいる時期だったから、かなり盛り上がったものだ。
残念ながら解散した後だったので、
ROOSTERZについては振り返る話ばかりだったけれど。

再会し、3時間以上も昔話に花を咲かせ、
ちょっとぼやーっとした満月を見ながら帰宅したら日付はとっくに変わっていた。
シャワーを浴び、ちょっとした疲労を感じながらも、
やはり今夜はこれを聴こうと思った。
『FOUR PIECES LIVE』(88)。
渋谷公会堂での解散ライヴを収録した、ROOSTERZのラスト・アルバムである。

87年、PASSENGER TOUR後に灘友&柞山のリズム隊が脱退。
翌88年、メンバーを新たに加えて『FOUR PIECES』をリリース。
そしてツアーが発表される。
僕がそのチケットを取ったときには、まだ解散という話はなかったはずだ。
少なくとも僕は知らなかったし予想もしていなかったし、思いもしなかった。
取った時点では。

アルバムが発表され、さぁ、これから…というはずのツアーは、
結局ROOSTERZ最後のツアーとなってしまう。
※渋谷公会堂後にサウンドコロシアムMZAで「ONE MORE PARTY EXTRA」が行われた。
 オマケみたいなものだったけど、実質的にはこちらが本当のラスト・ライヴになった。

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このときのライヴの素晴らしさは既に色々なところで書かれているので、
ここで僕が改めて記す必要は無いだろう。
例えアンコールでの大江慎也、井上富雄、池畑潤二の、
三人のオリジナル・メンバーを迎えてのセッションのほうが、
大きくクローズ・アップされてしまおうとも、
実際にライヴを観て聴いた僕の中には花田裕之、下山淳、穴井仁吉、三原重夫の、
こちらの四人のROOSTERZが叩き出していた音のほうが何億倍も残っている。
ちなみに僕にとってのルースターズ解散は2004年FUJI ROCK Fes.ではなく、
1988年の渋谷公会堂である。

ライヴ盤として発表され、映像としても作品化されたし、
今ではCD27枚、DVD5枚の32枚組というとんでもないボックス・セットを入手すれば、
そこに収められたCDはライヴ完全収録である。DVDもほとんど完全版だ。
こうやって作品として残されたことは本当に良かった。
いつだってROOSTERZのライヴを何度も体験できるのだから。

僕がライヴでいちばん印象に残っているのが「C.M.C.」を演奏している下山淳の姿だ。
もちろんオリジナル・メンバーとセッションしたうちの一曲で、
ルースタ-ズ・クラシックスである。
DVDに収録されている映像を観ると感じないのだけれど、
僕は実際にあの場で彼を観ていて何だか泣きそうになったのだ。
久しぶりのメンバーとのセッションという、ある種の楽しさはもちろんあったはずだ。
でも、その逆の感情も絶対にあったはずである。
そんなもの全てを、あの曲を演奏する下山淳は放っていたと思っている。
ただ、もしかしたらそう強く思っていたのは僕で、
そんな自分の感情を下山淳に投影していただけなのかもしれない。

P.S.
この渋谷公会堂には、最初に書いた友人も知り合う前だがその場にいた。
一緒に観に行ったことは無いが、一緒に観ていた唯一のROOSTERZのライヴ。
それが、このラスト・ライヴだったわけだ。


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KAMINARI/ROOSTERZ -1986-

ルースターズといえば?

この問いの答えのほとんどを占めるのは 間違いなく" 大江慎也 " である。
他には " 1stアルバム "であり、" ロージー "であり" 恋をしようよ "等であろう。
これに、たまに" 花田裕之 "が加わるのだ(笑)。
バンドが88年に解散してしまった今となっては、
残念ながらこれは永遠に言われ続けていくのである。

さて、僕がこの質問を受けたらどうか…?
もちろんルースターズといえば花田裕之と下山淳であり、何といっても『KAMINARI』だ。

大江在籍時のルースターズを否定するわけでは無い。
それどころかデビュー時から大好きだったバンドだ。
ただ、冷静に考えて、大江期のみが語られる現状は大嫌いである。
メンバーも、その音も違うのだから比べるのは意味が無いかもしれないが、
それなら大江期しか語られない現在の風潮にだって納得できない。
せめて僕のようなのがいないと、ルースターズは歪な形で伝わっていってしまう。
余計なお世話だが(笑)。

『KAMINARI』は大江脱退後の二作目だ。
前作の『ネオン・ボーイ』は花田流POPさが爆発した名盤だと思うが、
ルースターズらしい音の強さは感じられなかったのが不満だった。
そこへ登場したのがこのアルバムである。

二本のギターとリズム隊が剥き出しになっている。
ホッピー神山によるキーボードに華やかさを感じる瞬間もあるが、良く聴けばラフな音だ。
そこへダメオシに捨て台詞を吐いているような花田のヴォーカルがのるのだ。
この音をカッコイイという言葉以外で形容することは不可能だよ。
まさに骨太なロックが全編で鳴っている。

下山淳のギター・プレイも素晴らしい。
一曲目の「Oh! My God」なんて単なる3コードのロックン・ロールである。
それがこんなにスリリングな曲になっているのは彼のギター・ソロのおかげだろう。
イントロ(これは花田のプレイかな?)の何気ないフレーズ。
ここから既にルースターズが全開。
ストーンズ・タイプのギターにしかカッコよさを感じないような小僧は今すぐ考えを改め、
こういったギターの凄さを認識しなさい。

そして間奏のギター・ソロだ。
凄い。
下山淳の数あるプレイの中で、僕がいちばん好きなものがこれだ。
こんなにカッコ良くスリリングなギター・ソロは聴いたことが無い。

アルバムの冒頭からこのテンションなのだ。これが最後まで続くのである。
しかも中盤には下山自身の作である「Warm Jetty」というドPOPな名曲が姿を現す。
彼はヴォーカルもとっているのだが、それはファルセットなのだ!

『KAMINARI』に付けられた宣伝コピー。
それは「ルースターズがロックン・ロールをレイプした」というものだった。
何だか良くわからんが、ニュアンスは伝わってきた。

当時、日本コロムビアに友人がいて『KAMINARI』のポスターをもらった。
そのコロムビアは、音楽雑誌に「R」が共通していた(?)というだけで、
ルースターズとレッド・ウォーリアーズ(1st!)を並べた広告をうっていた。
いい時代であった。

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いまだに良く聴くアルバムだし、個人的には本気でルースターズの最高傑作だと思っている。
それにしても、僕のようなルースターズ・ファンは何人くらいいるのだろう?


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音がでかいライヴ ROOSTERZ 87.10.23.中野サンプラザ

花田&下山タッグのルースターズと言えば轟音ギター・アンサンブルであるが、
それでもまさか耳を塞ぐようなことは無かったと思うだろう。
でも、実はひとつだけとんでもなかったライヴがあったのである。

87年、パリ録音のアルバム 『PASSENGER』 を引っさげてのツアー最終日。
中野サンプラザ。

当時のルースターズのライヴを良く観ていたのは、
今は亡き芝浦インクスティックだった。
所謂ライヴハウスで観ることが多かったのだが、
このツアーはホールを廻るという規模が大きなツアーだった。

一曲目から驚いた。

でかい。

轟音。

辞書で引くと「響き渡る音」だが、
まさにサンプラザ・ホールをまんべん無く埋め尽くす音であった。
インクスティックではなく、サンプラザである。
ライヴハウスでは無い。
ここはでかいホールだ。
それなのに人によっては耳を塞がないと、
とてもじゃないが聴いていられなかっただろう。
本当にとんでもない音であった。

結局このツアーを最後に、ベースの柞山一彦とドラムの灘友正幸が脱退。
まさにルースターズにとってもポイントとなるライヴになってしまった。
そんなバンドの内部事情がどの程度表面化していたのかはわからない。
しかし、四人のメンバーのある種の思いや想いが、あの音に出ていたのかもしれない。

当時、ロッキング・オン誌にこの日のライヴ・レヴューの記事が掲載された。
ライターは広瀬陽一氏だったと思う。
そこには当然のように音がでかいことが書かれ、更にこうも書かれていた。

  「このライヴにもう一度行くかと聞かれたら、僕は行かない」

このままの文章では無かったが、それだけ酷い音のでかさだったのである。

あの日、サンプラザのPAスピーカー前の席でこのライヴを体験した人は、
どんな感想を持ったのだろう。
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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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