『the TEARS OF a CLOWN』の編集/RCサクセション、レコーディングの謎 その3

86年夏の日比谷野音でのライヴ盤『the TEARS OF a CROWN』。
以前、このアルバムについて、そしてCDの編集違いの点を指摘した記事を書いたことがある。
最近久しぶりに聴いて、そして映像を観たこともあり、
改めて思い出したことや感じたことがあるので、今回、再び書いてみたい。
ここで使用する資料は、オリジナルのアナログ盤(T17-1100-1)とDVD(TOBF-5158)とします。

今回オリジナルのアナログを聴き返して改めて気付いた点を二つ挙げてみる。
まず、90年再発のCDは「スカイ・パイロット」の前に清志郎の " OKコーちゃん " というMCが入り、
コーちゃんのハイハットのカウントから演奏が始まっているが、
アナログではMCとカウントがカットされ、いきなりイントロになっていた。

また、アナログB面のラストは「スローバラード」なのだが、この曲の後が凄い。
何と未だにCD化されていない「サマー・ロマンス」のイントロがハッキリと収録されているのだ!
『RHAPSODY』のA面ラストでベースによるイントロがフェイド・アウトしていくのがあるが、
まさにあれとまったく同じである。
もちろん断言はできないのだが、実際にライヴでこの曲が演奏されている事実があるという事。
『ノーティー・ボーイ』(これも未CD化)の「サマー・ロマンス」のベース・ラインが酷似している事。
よって、ほぼこの曲に間違いないはずだ。

さて、オープニングは「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」のカヴァーで始まっているが、
実際のライヴは86年版「ロックン・ロール・ショー」だった。
DVDでもオープニングで清志郎がステージに飛び出していく瞬間が収められているが、
ステージ上でG2がギターを抱えている姿が確認できる。キーボードの前にいるわけでは無い。

「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」でのG2はギターを下げたままキーボードを弾いているが、
「ロックン・ロール・ショー」ではギターだけを弾いていたのだ。

ライヴのオープニングというものは大事だと思うのだが、
何故レコードにする時に「ロックン・ロール・ショー」をカットしてしまったのかな?
ただ、この「ロックン・ロール・ショー’86」は『BLUE』収録ヴァージョンと違い、
やたらと軽いアレンジだったのだ。僕自身あまりカッコイイとは思えない出来だった記憶がある。
もしかしたらメンバーもそう思ったのかもしれないな。

そうそう、これだけは書いておきたい。
ライヴとはいえコーちゃんのミスはそのまま収録されちゃっているのが気になる…。
「打破」と「トランジスタ・ラジオ」でスティックを落とした(と思われる)箇所がバッチリだ。
これはどうしてだろう?
コーちゃんのミスについては、やっぱりRCは謎だ。
・レコーディングされたのは86年8月17日と8月24日。
・演奏された曲目は4日間(8/16、17、8/23、24)とも基本的に同じ。
・「君はそのうち死ぬだろう」は1日目の演奏が不評だったようで、
 2日目は「スローバラード」に変更。ただし3日目からアレンジを変えて復活。
・その「スローバラード」は2日目から登場し、そのまま3、4日目も演奏された。
・3日目は「エンジェル」が演奏されたが、「ヒッピーに捧ぐ」が削られた。
・4日目は「スカイ・パイロット」と「キモちE」が追加された。

レコードのライナーだけでこれだけの情報を得ることができる。
これを参考にして音と映像を再確認すると、
まずレコードのメインは8/24か8/17かがわからないが、おそらく8/24がメインだと思われる。
「スカイ・パイロット」と、アタマだけだが「キモちE」が収録されているのも理由のひとつだ。
ヴィデオも音はレコードとほとんど同じだから、やはり8/24がメインと思われる。
ただし映像は4日間のライヴから編集されているようだ。
それがハッキリとわかるのは、チャボがヴォーカルを取る「打破」である。

曲のラストでチャボが清志郎を呼び、再び二人でサビを歌うのだが、
ヴィデオを観ると清志郎の衣装が4パターン確認できるのだ。
この部分だけに使われていることも考えられるが、
他の曲(特に「トランジスタ・ラジオ」)でも複数の衣装が確認できるので、
やはり映像は4日間のライヴが使用されているようだ。

しかし、それならば音だって4日間レコーディングされていてもおかしくは無いよね?
これはあるぜ、音も。
おそらく、4日間録ったうち、17日と24日をレコードに使っただけなのだ。
いつか完全版でなくとも、このときの未発表ライヴが聴けることを願いたい。

その「打破」だが、間奏でチャボのギター・ソロの前に片山広明のSAXソロが入っている。
映像でも片山の姿が確認できる。しかし、これは編集(差し替え/ダビング)されたものである。
レコードとヴィデオのSAXソロは後から追加されたものだ。
映像で片山が出てくるところでのチャボを観ればそれは明らかだろう。
そこだけ映像が唐突に変っている。
チャボはニット帽をかぶっていないし、シャツの右袖からTシャツも出ていない。

「打破」は僕が観に行った最終日のテイクに間違いないのだが、間奏は確かにおかしかったのだ。
春日博文のギター・ソロの部分が片山のソロ・パートになるはずだったのだが、
その日、「打破」の間奏で片山はステージに出てこなかったのである。
チャボがギターを弾きながらステージ袖を気にしていた姿をハッキリと憶えている。
何らかのトラブルにより、片山は出てこれなかったのだろう。
よって映像版「打破」の間奏で片山が映っている場面は、8/24以外の日か、または新たに撮影されたものだ。

さて、このアルバムに限らず、今まで世界中で発表されたライヴ盤のほとんどは、
スタジオで後からダビングされているなど何らかの手が加わっているはずだ。
別に記録として残すわけではなく、ライヴ音源のアルバム作品として制作・発表するわけだから、
それはまったく間違っていない。ただ、ファンがそれを好きか嫌いかは自由だ。

僕はこのアルバムの編集は好きではない。
特にラストの「キモちE」のアタマだけ残した編集は、かっこ悪いと思っている。

たぶん、大多数のRCファンと僕は意見が違うだろう。
KING OF LIVEと呼ばれた割には、活動期に公式に残されたRCのライヴ作品は、
どうにも今ひとつなものばかりだと思っている。
ライヴは物凄いのだ。ただ、それが作品になると何故かショボいのだ。
きっとライヴを作品にするのが上手じゃなかったんだろうな。
だからTVやラジオなんかでのほうが、生に近いRCの姿を捉えていたりするのだ。

     **********

ちなみに僕がRCのライヴ作品(あくまでもライヴじゃなくて、ライヴ作品)として好きなのは、
90年のRCサクセション最後の姿を捉えたヴィデオ『ミラクル』。
ディレクターは翁長裕。
ちょっと詳しいRCファンには名が知られているだろう。
古くはRCの写真集『I Feel good』のカメラマンを務めた人で、
最近ではチャボの映像でお馴染み林ワタル作品でカメラマンでクレジットされていることも多い。
僕は彼が監督した映像作品が好きで、特に泉谷しげる with LOSERの『HOWLING LIVE』。
そしてL.A.でのスタジオ・ライヴを捉えたドキュメンタリー『中島みゆきライヴ!!』が気に入っている。

彼の作品を意識して選んでいるのではなく、
自分で好みと思った作品の監督がたまたま翁長裕だったので、これは強い自己肯定となっている。



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非公開コメント

「ミラクル」、持ってます。

20周年のライブとあって、「2時間35分」とか「僕の自転車の~」とかが演奏されているヤツですよね。

あまりそういう見方をしたことはなかったですが、久しぶりに見てみようと思います。

the TEARS OF a CLOWNは、実は自分がはじめて聴いたRCなんですよね・・。
もちろんアナログ盤でした。

恭さん

『ミラクル』っていい作品だと思いますよ。
90年のRCサクセションを、実に的確に捉えていると思います。
『the TEARS OF a CLOWN』は何だか粗いんですよね。私には粗いんだなぁ。
もう少しうまくまとめられなかったかなぁ。
最高の素材なのですが、それを私が好きな料理にしてくれなかった…と言うこと…かな(笑)。

いえいえ、大多数のRCファンはBlueさんと同意見じゃないですか?
オレももちろんそうですが。

>それが作品になると何故かショボいのだ。

全く同感です。
THE KING OF LIVE、the TEARS OF a CLOWN共、録りました、出しました、みたいな感じで編集が気に入りません。
TEARSは画像が荒くて最初は「なんで?」と思いました。
しかもロックンロールショーが入っていない。

>『ミラクル』

これは良いですね。いまだによく見ます。最後の素人は歌が下手ですが・・・
後は最初のat 武道館がお気に入りです。

当時「子供ばんどの歴史」というビデオをよく見ていたのですが、これがすげー面白いんです。いつも「なんでRCもこんなの作れないんだろう」とずっと思ってました。
あとHISTORY OF JAGATARAもよく見ます。

しかしよくこれだけ解析されましたね。お疲れ様でした。

マイトさん

>大多数のRCファンはBlueさんと同意見じゃないですか?
まぁ、私と同じ意見のファンもいるだろう…ってことで v-290

『THE KING OF LIVE』はともかく、『the TEARS OF a CLOWN』はなー。
野音ライヴの決定版がこれしか無いってのが悔しいですね。『コブラ~』は私にとっては問題外だし。
80年から90年の野音ライヴ・ボックスなんかが出ないもんかな(笑)。

>「子供ばんどの歴史」というビデオ
これ、今でも入手できるんでしょうか?

RCのヒストリー物の決定版はいつか期待したいものですが、やはり愛情があるスタッフじゃないとな。
過去のRC関連のアイテムって、作る側の愛情が、私にはほとんど感じられないんですよね。
それが本当にもどかしいです。

マイトさん

早速のお返事ありがとうございます。これは入手したいと思います!

実録・子供ばんどの歴史

Blueさんにお勧めしたのにオレがDVD買っちゃいました。
やっぱり編集が最高!見ていて面白い!
DVD Directというところが安かったですよ。
もしご覧になられたら感想聞かせてくださいね。

マイトさん

おー、早速入手しましたか。もちろん、これは是非観たいと思っていますよ。
そういえばうじき、今は何をやっているんですか?

うじきつよしさん、子供ばんどという過去を捨てたがってるようです。
現在何かのキャスター?(まだやってるのかな)
しかし子供時代封印、なんて何故に??

ani-lineさん

子供ばんどの過去を消す理由があるとしたら何なんでしょうね?
今のうじきはともかく、ロックしていた彼は最高のミュージシャン、ギタリストでした。
でも、うじきのようなタイプは現在に引き継がれていないような気がします。
影響を受けた人は少なからずいるはずだと思うんだけどなぁ。

サマーロマンスほか

打破の後のイントロはサマーロマンスで間違いないですよ。
音は8月23日が基本で自由(CDはヒッピーも)が17日、打破の間奏は大幅にスタジオでオーバーダブですね。
レコーディングについては当時のファンクラブ会報で17日はレコーディングしてたので慎重な演奏をしてまったと梅津氏が語っております。
文の前後から見て16・22日はやってないと思います。

修正

日付間違ったので追記加えて修正版
---------------
打破の後のイントロはサマーロマンスで間違いないですよ。
音は8月24日が基本で自由・ヒッピー17日、打破の間奏は大幅にスタジオでオーバーダブですね。
映像だけのブンブンブンも17日だったような気がします。
レコーディングについては当時のファンクラブ会報で17日はレコーディングしてたので慎重な演奏をしてまったと梅津氏が語っております。
文の前後から見て16・22日はやってないと思います。

sukaiさん

はじめまして。情報ありがとうございます。

>サマーロマンスで間違いないですよ。
ですよね、やっぱり。聴きたいです、これ。

>音は8月23日が基本で
24日…ですよね(笑)。※追記 あぁ、やはり。わざわざ訂正ありがとうございます。

>当時のファンクラブ会報で
この会報って「BAD」ですよね?ちょっと引っ張り出してみよう(笑)。でも、見つかるかな…?

他にもマニアックなネタがありましたら、是非お願いします!

86野音といえば

おお、早速の反応ありがとうございます。

86年の野音と言えばマーマレードソンングもやってますね。
16日のはその歌の後の演奏がやたら長くて清志郎がその演奏の間に
「スタッフ!マイクスタンド持って来い!仲井戸が歌うぞ」なんて言う場面ガがかなり面白いですね。
もちろんやたらスローな「君はそのうち死ぬだろう」も初日の聞き所ですが。


sukaiさん

>86年の野音と言えばマーマレードソンング
らしいのですが、私は憶えていないんですよ…。
4日間のうち、24日の最終日しか行って無いので、記憶が薄いみたいです(笑)。
その24日も、チャボが「打破」の他にも1曲歌ったようなのですが、それすら憶えていない…。
「チャンスは今夜」ですかね?

>もちろんやたらスローな「君はそのうち死ぬだろう」も初日の聞き所ですが
これが聴けた人は幸せですよ。だって1日目だけですよね?めちゃレアな演奏でしょう。

No title

最近やっと見つけたページなので今更かもしれませんが...

僕のRCのライブ経験はこの時の日比谷の次の年からです。
緊急スペシャルライブ(4時間以上演ったの!、出たり引っ込んだりして)も行きました。
東京人なのでその後の武道館、野音、チャボの渋公、タイマーズの学祭カンケーはほとんど観てます。

で、このライブ盤なんですが、その場に居なかったものがいうのもナンですが
当時のrockin'onのインタヴューでチャボが、
オーヴァーダブいっさいなしでもし誰かが”この曲いれたくない”って言ったとしたら、それってそのメンバーがどっかでミスったからだ、とかなんとか。
そんなかんじで選曲していったって。

僕は個人的にこのアルバムは好きです。
ただ鍵盤の音はイマイチかな。

N.A.さん

コメントありがとうございます。

>当時のrockin'onのインタヴューでチャボが、
>オーヴァーダブいっさいなしでもし誰かが”この曲いれたくない”って言ったとしたら、
>それってそのメンバーがどっかでミスったからだ、とかなんとか。
>そんなかんじで選曲していったって。
おー、そうでしたか。かなり民主的な作業だったのでしょうね。

『the TEARS OF a CLOWN』のレコードを聴くと、
あれ、RCのライヴってこんなだったかなぁ…なんて感じちゃうんです。
自分の中では実際のライヴとの差がかなり大きいので、
私はライヴ盤という作品として、あまり好きじゃないんです。

>最近やっと見つけたページなので今更かもしれませんが...
いえいえ、過去のエントリーへのコメントは歓迎ですよ。
ただ、私は好きなこと(特にRC関係)について調べることは大好きなのですが、
加えてここでは思い込みと記憶に頼って書くので、いいかげんな内容も多いです(笑)。
知らないことや知らなかったこともたくさんあります。
ですから、正しい情報や新しい情報は大歓迎ですし、嬉しいです。

>僕のRCのライブ経験はこの時の日比谷の次の年からです。
>緊急スペシャルライブ(4時間以上演ったの!、出たり引っ込んだりして)も行きました。
>その後の武道館、野音、チャボの渋公、タイマーズの学祭カンケーはほとんど観てます。
きっと、私ともたくさん同じ場所と時間を共有していますね。
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Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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