ARB 田中一郎の時代

ARB 30th ANNIVERSARYということで、オリジナル・アルバムが紙ジャケ化された。
しかも、凌でも無く、一郎でも光浩でも久でもなく、KEITHが監修しての最新リマスターだ。
数多いメンバー交代。そしてサウンドも時期によって形を変え続けたARBだが、
バンドが無くなった今、最後までボトムを支え続けたKEITHこそがARBだった…と言っていいかも。
よって、KEITH監修というのはいちばん相応しい人選かもしれない。

さて、再発第一弾は田中一郎の時代の7枚。
個人的には、『BAD NEWS』以降の6枚はすべて日本のロック史に残したい作品だ。
ジャケットを眺めているだけで、自然と顔がにやけてしまう。
ビクターの紙ジャケの評判は良くわからなかったのだけれど、
レコードのライナーも丁寧に復刻されているし、
肝心のリマスタリングもなかなかの出来で、良い仕事だと思う。

ソリッドなバンド・サウンドという言葉がピッタリの80年代前半、田中一郎在籍時のARB。
スピーカーから飛び出す新しく生まれ変わった音。
これは大音量で聴くとたまらんです!
特に『W』と『トラブル中毒』は、個人的にもフェイヴァリットで聴きまくった2枚だけれど、
今回のリマスターで、かなり新鮮に聴くことができました。

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カラフルかつ切れ味抜群の一郎のギター。
うなるサンジのベースにKEITHのKEITHな(笑)ドラム。
この3ピースが鳴らす不動のアンサンブルをバックにあの凌のヴォーカルが聴こえてくるのだから、
今でも血が騒がないわけは無いのだ。

さて、ARBはRCやルースターズと並んで大好きなバンドであったが、
これまでブログではほとんど取り上げたことが無い。
唯一触れているのは、一郎のギターについてのエントリーくらいかな。
特に理由は無く、たまたまそうなっているだけなのだけれど、
今回の再発に合わせて、三人のギタリスト在籍時に分けて、まとめて書いてみようと思います。

●アレキサンダー・ラグタイム・バンド(79)
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A.R.B.(2008-07-23)
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どうしてもキーボード入りで5人のARBというのには違和感があるが、
とにかくここがスタートだった。
キーボードがギターと同等にフィーチャーされているし、
ホーンセクションもかなり目立つため、サウンドは結構POP。
一般的なARBのイメージとは離れた音かと思うけれど、10曲中8曲が凌のオリジナル。
中でも一郎のリフがカッコイイ「ワイルド・ローティーン・ガール」や、
「パブでの出来事」に「ジャックナイフ・ブルース」のロックン・ロールが聴きものかな。
代表曲のひとつである「渇!」も収録されているが、
このスタジオ・テイクは個人的にはどうにもいけません…という仕上がり。
柴山(俊之)さんに「宝くじ」みたいな情けないの歌うなって言われた…という凌の発言があるが、
その通り「宝くじ」と「悲歌(エレジー)」の2曲はキーボードのENMAの曲。
もちろん浮いている(笑)。
ラスト・ナンバーの「OH!PLEASE」は解散ライヴでも演奏され、
ゲストで仲井戸麗市がギターを弾いた。
ちなみに、ARBのオリジナル・ベーシストは、後にチューリップに加入する宮城信一郎だった。


●BAD NEWS(80)
BADNEWS.jpg
A.R.B.(2008-07-23)
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ほとんどのARBファンは、これを1stアルバムという認識でいるんじゃないかなぁ。
僕もそう。
でも、正確には、79年の暮れに発表された凌と一郎、
KEITHの三人だけでレコーディングしたシングル、
「魂こがして/Tokyo Cityは風だらけ」が本来のARBの出発と言えるけれど。

CIMG6841.jpg CIMG6843.jpg CIMG6844.jpg

ちなみにこのシングルはRCサクセションの「雨あがりの夜空に/君が僕を知ってる」と並んで、
80年代日本のロックのベスト・シングルと個人的に評価している一枚です。

さて、『BAD NEWS』はとにかく音質や演奏の出来云々ではなく、
当時のメンバーの熱く激しいパッションがぎっしり詰まった一枚で、
「Tokyo Cityは風だらけ」が新宿loftでのライヴ・テイクで収録されているのがそれを裏付ける。
柴山俊之とのコラボが始まるのもこのアルバムから。


●BOYS&GIRLS(81)
BOYSGIRLS.jpg
A.R.B.(2008-07-23)
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実にロックン・ロールな3rdアルバム。
凌の “ ライヴを意識して作った “ の発言通りの曲が並ぶ。
ただし「ダディーズ・シューズ」や「Naked Body」のように、
スカやレゲエのビートを取り入れるなど、
決して一本調子ではないのが素晴らしい。
ARBの代表曲かつタイトル曲の「BOYS&GIRLS」や、
戦争がテーマの強烈な「赤いラブレター」。
今でも一郎のライヴで演奏される「Believe In R&R」に、
ヘヴィなバラード「Just a 16」など名曲が並ぶ。
このアルバムからアレキサンダー・ラグタイム・バンドのクレジットが消え、
単にARBとなった。


●指を鳴らせ!(81)
SNAPYOURFINGERS.jpg

  KEITH(IN THE HOSPITAL)

このクレジットの通り、入院中のKEITHの代役で三人のドラマーが参加している。
アナーキーの小林高夫。サンハウスの浦田賢一。
そしてダウン・タウン・ブギウギ・バンドの相原誠といった錚々たるメンツだ。
おかげでリズムがラフであるが、かえってそれがライヴ感を生んでいてカッコイイ。
前作までと比べ、凌の書く歌詞には日常というかストリートでの視点が見られるようになり、
一郎の作る曲とギターはバラエティに富むようになっていると思う。
前述したリズムのこともあって、
結果として実にヘヴィでPOPでスピード感が溢れる名盤となった。
そんな代表曲が「STANDING ON THE STREET」であり、「教会通りのロックン・ロール」だ。
ラストを飾る「さらば相棒」をモチーフにした宇崎竜童監督の映画が作られ、凌が主演する。
後のことを考えると、今となっては重要な曲と言える。


●W(82)
W.jpg
A.R.B.(2008-07-23)
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誰が何と言おうと、僕の中では最高傑作。
WAR、WISKY、WORK、WALK、WEEK、WOMAN、WONDER、WAGE、WILD…。
Wをテーマにしたコンセプト・アルバムで、
収録された11曲すべてが代表曲というまったくスキが無い至福の40分間である。
歌詞や曲、演奏を含めて第二期ARBの到達点でもあり、
特に一郎のギターの素晴らしさったら無い。
「ウィスキー&ウォッカ」から「ユニオン・ロッカー」への流れは未だに色褪せない。
「Heavy Days」や「二人のバラッド」のように、
ビートルズ(ジョン・レノン)にインスパイアされた曲も聴きもの。


●トラブル中毒(83)
TOROUBLE.jpg
A.R.B.(2008-07-23)
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一郎の脱退がバンド内で表面化したうえでのレコーディングだったそうで、
そんなこともあってか、ギターとヴォーカルがまるで戦争状態のようだ…と、
僕は昔から表現しているんだけれど。
前作の『W』を更に推し進めた内容で、サウンドも演奏もこれ以上無い高みで鳴っていると思う。
特に凌のヴォーカルだ。
ある種の色気がある凄まじさは、ARB全作品中このアルバムがトップだろう。
また、歌われている世界についていけない人もいるだろうと思うほど、
ここでの凌の書く歌詞は、独特でメッセージ性に溢れている。
残念なことに第二期ARBのラスト・スタジオ・アルバムとなったが、
ハードで唯一無二のサウンドが完成した。凄いアルバムだ。


●魂こがして(83)
TAMASHII.jpg
A.R.B.(2008-07-23)
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音楽的なクオリティはともかく、
オープニングの “ We Are ARB! “ のシャウトからラストまで、実に熱い音が録れている。
83年のツアーを収録したライヴ・アルバム。
演奏もヴォーカルもラフ。
しかし、これを最高と言わずして、何を最高と言うのだ。何をロックと言うのだ。
収録曲もベスト。ライナーにあるモノクロのメンバー写真もカッコイイ。
これがARBである。でかい音で聴こう!
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非公開コメント

No title

こんばんは!

僕もARB大好きです。

個人的には『指を鳴らせ!』と『W』は特に好きで

良く聴いてました。


続きも楽しみです!

ちゅう吉さん

>僕もARB大好きです。
>個人的には『指を鳴らせ!』と『W』は特に好きで
おー、そうですか!
私も大好きですよ。今回、すべて聴きなおしましたが、久々に燃えました(笑)。
活動期間を通して好きですが、特に一郎の時代は特別ですねぇ。

iPodにARBを入れました笑

そうですか 
そう言われてみれば Blueさんの
ARB関連記事は一郎のギターくらいでしたね

いや~今回はニヤニヤしながら
読ませていただきました
ありがとうございます。

後楽園ホールで観た
ノックアウトツアーが懐かしいです。


KEITHが監修・・・

なら、ついでに自身の「親孝行」も
紙ジャケでいいから再発してくれないかな。

KENBOさん

ARBについて書こうと思えば、それこそRC並みに書けそうなバンドなんですけどね。
これまでブログで触れる機会が無いままでした。

KEITHの監修って、実は大丈夫かなって思ったのですが(笑)、いやいや良かったです。
「ウィスキー&ウォッカ」のサンちゃんのベースのカッコ良さは、今回のリマスターによって倍増です!

この2~3日の私は、毎日ARBを持ち歩いている日々ですよv-218

熱い

ARBはリアルタイムではなく、アルバム単位では聴いたことがない
でも これで聴きたい理由ができた!ありがとうございます。

湯侍さん

>これで聴きたい理由ができた!
おー、そうですか!
是非、興味を持ったアルバムから聴いてみてください。

光浩時代までしか聴いてませんが・・・。

やっぱり一郎時代は格別ですよね!
俺のNo.1は「魂こがして」(ライヴ・アルバム)
スタジオ作は、「W」ですよね、やっぱり。

ラ・モスカさん

>光浩時代までしか聴いてませんが・・・。
当時の「一郎脱退~光浩加入・脱退~久加入」の流れを一旦リセットして聴いてみてください。
久の時代も傑作を残していると思うんですよね。

でも、今だからそう思えるわけで、当時の私もどうしたって一郎時代からの流れで聴きましたから、
光浩以降の変化には、かなり戸惑いましたねぇ…。

>俺のNo.1は「魂こがして」(ライヴ・アルバム)
>スタジオ作は、「W」ですよね、やっぱり。
このライヴは、当時から凄いと思いました。凌の歌が尋常じゃないですよね(笑)。
特に「魂こがして」は色々なヴァージョンがありますが、このライヴ・テイクがベストかもしれません。

デビューもよかったと思ってます

キーボードの抜けたARBのほうが評価が高いみたいだけれど、じぶんは、エンマのプレイは好きでした。

このバンドがもっと大きく取り上げられないのが今になると不思議なくらい。

商品くさくないサウンドが、今となっては懐かしいです。

Re: enneagram さん

> キーボードの抜けたARBのほうが評価が高いみたいだけれど、じぶんは、エンマのプレイは好きでした。

1st以降はもう違うバンドですからね。
比べること自体に無理がある様に思います。

甲斐バンドも終結させたわけですね

ARBでやれるだけのことをやってしまって、田中一郎が甲斐バンドに移籍したわけだけれど、その甲斐バンドも、ニューヨーク3部作を創造し終えて終結したわけで、田中一郎というギタリストは、バンドの黄金期を2つ経験できているわけですか。

甲斐バンドも85年だかにいったん解散したわけですけど、これ、1983年にピンク・フロイドからロジャー・ウォーターズが脱退した影響だったのだろうと思います。今思えば。

甲斐バンドが年中再結成するのは、ピンク・フロイドが3人が中核になって名義上再結成された影響だろうかと思っています。

甲斐バンドにも、4人のメンバーのオリジナルの持ち寄りの、ピンク・フロイドの「ウマグマ」みたいな企画のアルバムが確かありましたよね。

甲斐よしひろもミスチルの桜井和寿同様、ロジャー・ウォーターズがすきなんでしょうか。辻仁成は、ロジャー・ウォーターズまねから出発したみたいですけれど。

Re: enneagram さん

> 田中一郎というギタリストは、バンドの黄金期を2つ経験できているわけですか。

あぁ、そういえばそうなるのかな。
しかも異なる音楽性ですから、珍しいケースかもしれません。

> 甲斐バンドも85年だかにいったん解散したわけですけど、
> これ、1983年にピンク・フロイドからロジャー・ウォーターズが脱退した影響だったのだろう

これは面白い意見ですね。
なるほどー。

『BAD NEWS』以降の6枚

はじめまして

>後楽園ホールで観た
>ノックアウトツアーが懐かしいです。

たしかストリートスライダーズが前座やってたネ。
ホント懐かしい。

それにしても、
>『BAD NEWS』以降の6枚は・・・

そうです。その6枚だけ有りますョ。
順番?付けられませんナ。

Re: 鮫猫BBMさん

> それにしても、
> >『BAD NEWS』以降の6枚は・・・
>
> そうです。その6枚だけ有りますョ。
> 順番?付けられませんナ。

順番は…やはり『W』は特別ですが、確かにこの6枚に順位は不要ですね。
コメントありがとうございました。
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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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