歌旅 中島みゆきコンサート・ツアー2007 / 中島みゆき -2008-

それにしても、何と感動的なライヴ…というかツアーだったんだろう。


ライヴ・シーンの合間には様々なオフ・ステージの映像が挟み込まれる。
ツアー開始前と開始後のリハーサル・シーン。
そしてツアー開始後のバック・ステージや移動時などのシーン。
ただでさえコンサート・ツアーの映像作品は初なのに、
こういった実に貴重なシーンがたっぷりと収録されているのは嬉しい。
よって、観ているあいだは一緒にツアーを廻っているような気さえした。
また、この部分だけはモノクロの映像なので、特に船での移動シーンでは、
僕は『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』を思い出してしまった。

さて、そんなリハのシーンでいちばん印象に残ったのは、
リラックスした中島みゆきの姿はもちろんなのだが、
何と言っても音楽プロデューサーである瀬尾一三が飛ばす指示である。
特に厳しくてヘヴィなシーンばかりが観られるというわけではないけれど、
音楽に対する妥協の無い姿勢が伝わってくるそれは、もうひとつの見所だろう。

肝心のライヴ本編は、実に感動的だ。
前半、中盤、後半それぞれで、必ずドラマチックな曲が歌われている。
おかげでDVDをどこから観たとしても、そこがハイライトだと言えそうである。
そして全編に流れる、何というか、ある種の切なさ…と言ったら良いのだろうか。
これがロック・バンドのライヴDVDだとしたら、
もしかしたら解散するんじゃねぇか?と思ってしまうかもしれない…という切なさ。
そんな雰囲気を感じてしまうファンもいるんじゃないかなぁ。

中島みゆきによるMCは一切…いや、ほとんど収録されていない。
観る前に思っていたことのひとつは、
ステージの一部とも言えるあのMCをどうするのか…だったが、
この編集は成功だと思う。
少なくとも僕にとっては、だけれど。
だってあのMCを楽しみにしているファンも多いだろうから。

  同じ時代に生まれてくれてありがとう

MCは一切ではなく、ほとんど収録されていない…と書いたのは、
「重き荷を負いて」の前に発したこの言葉だけが唯一収録されていたからだ。
でも、これだけで十分だろう。

     **********

吉田拓郎のカヴァー「唇をかみしめて」の前に映るのは、おそらく広島の街だ。
この辺の編集は気が利いているな。

そして、あらためて思ったのが、ここからラストまでの物凄い展開である。

まず「ファイト!」。
ベースのみで淡々と歌いだされるのだが、ストリングスを効かせたアレンジが素晴らしい。
曲がクライマックスに向かって盛り上がっていく様は圧巻で、
国際フォーラムで僕の隣で観ていた男性が発した「すげぇ」という言葉を思い出した。
続く「誕生」は、その歌詞からも、ツアーのテーマ曲と言ってもいいかも。
ただでさえ感動的な大作なのに、こういった流れの中で聴くとそれは確実に倍増する。
この二曲の大作連発は、DVD最大の見物かもしれない。

こういった曲の合間で歌われる「I Love You, 答えてくれ」「ボディ・トーク」「本日、未熟者」の、
現時点での最新作収録曲のカッコよさも再認識。
本編ラストの「重き荷を負いて」でのヴォーカルも貫禄。
そしてアンコールでのヘヴィな8ビートが気持ちよい「地上の星」から、
一転して「背広の下のロックンロール」に変る見事なコントラスト。

怒涛のクライマックス。
本当に物凄い展開である。

     **********

実に収録時間158分の二枚組だが、
一気に観てしまった…いや、目を離せなかったというのが実感。

2007年に行われた中島みゆきの全国ツアーのうち、12月18日、19日を収録。
日替わりで歌われた6曲のうち、
「EAST ASIA」「ホームにて」「蕎麦屋」の3曲が同時発売のCDのみの収録となったが、
ツアーのメニューは全19曲、完全収録である。


中島みゆき(2008-06-11)
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コンサート・ツアーの初映像作品としては、待った甲斐が十分にあったものだと思う。
ドルビー・デジタル5.1CH音声も収録されており、
期待以上の作品として届けてくれた中島みゆきに感謝。

ところで、アンコール一発目の「本日、未熟者」の前のシーン。
オープニングの「御機嫌如何」のイントロが始まり、
ステージに出て行く前と、出て行く瞬間の中島みゆきを捉えた映像がおさめられている。
DVDのエンド・クレジットの最後も、そんな場面だ。
これは何かしらの意味を持つのかもしれない。
だって、158分中ココロに残った色々なシーンの中で僕がひとつ挙げるとしたら、
ライヴ本編を抑えてでも、おそらくこれである。

中島みゆき、カッコイイ!
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なぜか「方丈記」について考えてた ~DVD『歌旅 -中島みゆきコンサートツアー2007』レビュー

   「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。    よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止とゞまる事なし。    世の中にある人と住家と、またかくの如し。」  鴨長明、方丈記の序です。  先日発売されたDVD『歌旅』を観てい

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非公開コメント

あ。

とうとう出たのですね!
みゆきさんライブDVD。
これは見たいなあ。ゲットしなくっちゃ。
158分ですかあ。すごい^^

nobuさん

すげぇぞ~このDVD…って、どこかに同じこと書いたな(笑)。

いやいや、感動の158分でした。
単なるライヴだけでなく、ツアーを追ったドキュメンタリー的なところが良かったです。
だって、これはライヴではなく映像作品ですからね。
楽しめると思いますよ。

しみじみと、いい作品ですよね

発売日前にアマゾンから届いてみたんですが、
心に落ちてくるまでに時間がかかりました。
お腹いっぱいになっちゃって。
拙稿のTBを送ったんですが、不発ですかね?

あと、CDでの蕎麦屋歌唱を聞くたび、
映像が欲しくてたまんなくなる病で困っています。

ne_san さん

じっくりと、バッチリと、集中して観ましたよ(笑)。
作品としては期待以上でした。

>拙稿のTBを送ったんですが、不発ですかね?
ありゃ?そのようですね。たまにこういったことあるんですが…。

>CDでの蕎麦屋歌唱を聞くたび、 映像が欲しくてたまんなくなる病
どうせならあの3曲も映像で入れりゃ良かったのに…と思います。
どうしてCDと分けたのかな?

古い目の曲を「CDの目玉にして利益を上げようとした」…という¥がらみの話はおいといて、

たとえば「蕎麦屋」なんて、もっともライブ映えする出来だったと思うんですが、
どうしたって、生に勝てない以上、一番ライブな部分は音だけで出した…とか。

よくわかんないけど、贅沢な鮨屋の大将みたいな感じでw

※今度のTBは反映されてますね。ほっ。

ne_san さん

>古い目の曲
確かに「ホームにて」も「蕎麦屋」も、あそこでは聴きものでしたからねぇ。
私は今更ですが、あそこで「まつりばやし」を歌って欲しかったと思っているのですが(笑)。

有料だけど、CDはDVDの特典みたいなもの…かもしれないな(笑)。

ついに水門が開いた感じ

私も、DVDを楽しんでいる者です。

かつてラジオで、針がみやすい男モノの腕時計を付けているというのを笑って話してましたが、今回の映像でそんなことも確認できたしだいです。

個人的には、生粋のカバー曲が公式リリースされたというのは、初のライブツアー映像という快挙よりも快挙のような気がしています。まさかそんな時代がやってくるとは。倒れた旅人が生まれ変わって歩き出すのも、あさってくらいのことかも知れません。

仲本ハリソン さん

コメントありがとうございます。

>針がみやすい男モノの腕時計を付けているというのを笑って話してましたが、
>今回の映像でそんなことも確認できたしだいです。
あ、実は私も彼女の腕時計に目が行きましたが、この話は知りませんでした。

>生粋のカバー曲が公式リリースされたというのは、
>初のライブツアー映像という快挙よりも快挙のような気がしています
なるほど…。
彼女が他人の曲を歌うということが、ほとんど私のアタマには無かったのですが、
今回のカヴァーは特に違和感無く聴けました。ただ、あの曲だからこそ…って気もします。
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