映画『ボヘミアン・ラプソディ』

今年の夏、午前十時の映画祭9で『雨に唄えば』を観に行ったときのことだ。
予告編での、ほんのわずかな時間であったが、
それはあまりにも強烈な印象で、その映像と音に興奮した。
この時点で何の事前情報も持っていなかったのだが、
観に行かねば…いや、観に行くべきだと確信した。
これが映画『ボヘミアン・ラプソディ』との出会いである。

実際に観たそれは期待を裏切らず、
それどころか、これまでの人生の中で2回しか記憶にない、音楽を介して受けた感動…、
とりあえずここでは感動と記すが、身体がふるえ、ココロがふるえた状態を指す…を、
再び体験することになった。

ちなみにその2回の感動というのは何かというと…

  1回目は2009年5月22日、南青山MANDALA。
  仲井戸麗市による清志郎追悼になったライヴで、
  演奏がすべて終わった後に、チャボから清志郎への手紙が読まれたとき。
  2回目は2011年10月9日、Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE。
  仲井戸麗市のバースデー・ライヴで、
  予定になかったという「夜の散歩をしないかね」が最後に歌われたとき。
  具体的にいうと、それを聴いてるあいだの僕は、身体中がガタガタふるえていた。
  ふるえていた気がするのではなく、本当に音がするほどふるえていた。
  右足はまるで貧乏ゆすりだったので、隣の人に気付かれないように右手で抑えていた。
  こんな状態になったハッキリとした理由はわからない。
  わからないけれど、たぶん悲しみではない。
  チャボの何かに対する " 愛と想い " によってそうなったのだと思う。
  チャボの誰かに向けての " 愛と想い " に、きっと感動したのだと思う。

…という体験である。

さて、『ボヘミアン・ラプソディ』だ。
後から振り返り、冷静に見つめれば似ていないのだが、
映画の中では本人としか思えなかった、メンバーを演じた4人の俳優が見事。
おかげで知っていることと初めて知ったことがリアルさをもって…いや、
まるでドキュメンタリーのように目の前の巨大スクリーン上で展開していく。
史実や時系列の違いなんて観ているあいだはまったく感じなかったし、
もしそれがその通りなのだとしても、それすら正しいと思わせてくれるだけのものが、
少なくとも僕にとってはあった…という映画だった。

バンドの誕生から成功をつかんでいく過程が、
数々の有名なシーンやエピソードの再現…。
ナレーションではなく動くクイーンで展開していく様は圧巻で、
安っぽい表現だが、目の前に映し出される青春…栄光の日々たちはとても眩しく、
ロック・バンドっていいなぁ、最高だよなぁと思わされる。
フレディ・マーキュリーが中心に描かれてはいるが、
差し込まれる彼のロマンスや、孤独感や病いなどの暗い影も、
あくまでもクイーン物語の一部であり、僕にとってはバンドも主役の映画だったのが嬉しい。

とにかく音楽シーンが素晴らしく、感動するのはもちろん、いちいち心に沁みてきた。
たとえば「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」のライヴ・シーンでは、
フレディ在籍時のクイーンを観られなかった僕が、後年、
ブライアンの弾き語りでこの曲を聴き、歌い、涙したのを思い出しながら観た。
当然、そんな個人の思い出と映画の内容は全く異なるのだが、
短いシーンであっても、不思議と個人の思いをそこに重ねることができ、
それにじゅうぶん応えてくれるのだから素晴らしい。

そのピークがラスト、ライヴ・エイドのシーンである。
ここまで個人的で強い思い入れを反映させながら映画の物語に入り込んできた先に、
あの観なれているはずのウェンブリー・スタジアムが現れ、
心の準備がないまま、「ボヘミアン・ラプソディ」のイントロが鳴ったのである。
僕がクイーンと出会ってからの長い長い時間と、
この映画が始まってからの時間とが重なったこの瞬間。
前述したように、ココロと身体がふるえた。

映画だからこそ、映画でしか味わえないラスト20分は、
僕が知っているそれではなく、初めて観るクイーンのライヴ・エイド。
2018年に体験する1985年。
まるで自分の意思のように動いてくれるカメラ・ワークは、
眠い目をこすりながら必死で観たTVの中の感動を思い出させてもくれた。
映画製作サイドの愛と想いは僕の愛と想いとなり、
そこにあの日の客席を埋めたファンの愛と想いが一緒になっていた。
それをココロと身体で感じることができ、涙し、ふるえながらの20分は、
僕だけの、しかも最高の音楽体験だった。

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P.S.
2005年のミュージカル『WE WILL ROCK YOU』。
開演中に僕の前の席で身を乗り出しステージを観ていた同世代と思われる女性がいた。
彼女がラストで泣いていたのを思い出す。
何度も何度も目をこすりながらステージに向かって手をのばし拍手をしていた。
こうしたかつてのミュージックライフ世代の女の子は、
あの日の映画館にもたくさん来ていたことだろう。
そんな彼女たちを思いながら浮かんだのは “ NOW I'M HERE “ 。
初来日公演のオープニングで待ちきれないファンの気持ちに火をつけたこのフレーズが、
今、僕の頭の中に残されている。
クイーンを聴いてきた彼女たち、僕たちは今、ここにいるのである。
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1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

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