グリンプス/ルイス・シャイナー

本棚を整理していたら奥のほうから出てきたので、かなり昔に読んだ本だが読み返してみた。
今週はこの1冊が通勤と休憩時間のお友達だった。

主人公はステレオの修理を仕事としている40男。その男が突然物凄い能力を持つのだ。
その力とは、60年代のロック・ミュージシャン達が、手がけたが未完に終わってしまった幻の作品。
それを主人公が完成させると言う、とんでもないモノである。
とにかく主人公が思い浮かべた通りの音が、自宅のステレオなどから流れてくるのである。
「この曲はこうだったはずだ」とか、
「あの曲はこのバージョンだったはずだ」と思うと、その通りになるのだ。

冒頭のシーンからして凄い。
仕事場のスピーカーから流れる「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」。
もちろん主人公が思い浮かべた音が流れてくるのである。
よって誰も聴いたことも無いバージョン。
これらをテープにレコーディングし、海賊盤業者とも手を組み、世間に発表していく。
それだけでなく実際に過去(60年代)へタイム・スリップし、ミュージシャンと過ごす…。

さて、この際、何故そうなるのか?ということは置いておく。
そうじゃないとバカバカしくて読めないから(笑)。

この小説で取り上げられている未完の作品は次の3つ。
全てファンには良く知られたものだ。

ドアーズの「セレブレーション・オブ・ザ・リザード」。
ビーチ・ボーイズの「スマイル」。
ジミ・ヘンドリックスの「ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン」。

小説はこれらの作品を中心として進むが、
家族や恋人との関係の話が実は重要なテーマだったりする。
だから、ロックの話をもっと読みたい!というタイミングでいきなり話が切り替わったりして、
実は落ち着かない。
でも見方を変えれば、上記の作品やアーティストについて知識が無くても読める本と言えるだろう。

ただし、やはりアルバムの制作過程や、60年代を過ごすシーンが凄い。
特に「スマイル」は、
主人公が実際に当時のブライアン・ウィルソンと一緒に完成させるのである。
このパートは本当に面白い。
他のビーチ・ボーイズのメンバーとのやり取りなんかの描写もあり、
実際のアルバム制作過程のドキュメンタリーと錯覚してしまうほどのめり込んでしまう。
ここだけで読む価値はあると思う。

文庫だけど分厚いので、読むのには時間がかかるかもしれないが、お薦めである。

P.S.
今ではビートルズは「アンソロジー」で未発表だった曲が聴けるし、
「スマイル」だってブライアン・ウィルソン名義の2004年版ではあったが、出た。
ヘンドリックスも同タイトルのCDが、編集版だが実際に出ている。
しかし、ドアーズは、断片では出ているがまだ幻のままである。

ルイス・シャイナー
東京創元社
発売日:1997-12

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1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

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