生きて泳げ 涙は後ろへ流せ フェスティバルホール 2007.3.31

まず、音楽監督を務めた高野寛に拍手。
バンドの演奏はもちろん、中島みゆきの名曲を再アレンジしたわけだが、
無駄な音が無く必要な音があり、しかもでしゃばらず、
最終的に唄をしっかりと聴かせることができていた。素晴らしいと思った。

また、フェスティバルホールは初めて行ったのだが、
東京で言うと渋谷公会堂のような雰囲気がある素敵な会場であった。
新しいホールでは無いが、音が良かった。
僕は4列目のほとんどど真ん中という最高の座席だったのだが、
生音とPAからの音とその残響音の混ざり具合がとても自然な感じで、
凄く聴きやすかった。

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三代目魚武濱田成夫がプロデュースする、
中島みゆきへのトリビュート・コンサートということだが、
これだけのユニークなメンバーがチョイスされたのは何故か。
そして、それぞれがどうしてその曲を取り上げたのか…
という理由は語られることがなかったので、ステージでのMCなどから想像してみると…。

三代目魚武濱田成夫はもちろんだが、FM802のスタッフにも中島みゆきのファンがおり、
そこからこの企画が生まれ、元々中島みゆきの曲をカヴァーしていた人と、
三代目魚武濱田成夫が出演して欲しい人に声をかけ、
それに賛同したアーティスト達が集まった…ようだ。
よってカヴァーの実績がある人はその曲+αを歌い、
そうでない人は、三代目魚武濱田成夫がその人に歌って欲しい曲をいくつかピックアップし、
アーティスト自身がその中から歌う曲を選んだ…ようである。
もちろんアーティスト自身が選曲したケースもあるだろう。

基本は歌と朗読で、各アーティストは2曲ずつ受け持つ形で進行した。
アーティスト毎にセッティングの変更があり、
流れが分断されてしまうのは仕方が無かったが、
それも最低限に抑えられ、なかなかスムーズだったと思う。

結論から言うと、素敵なコンサートであった。
各アーティストの歌はもちろん良かったのだが、
それに加えて中島みゆきの曲の素晴らしさが再確認できたというか、
改めていい曲なんだな…と認識できた。
言うまでもなく、曲というのはメロディだけでなく歌詞も含めて…だ。

それでは個人的な感想をアーティスト別に書いてみます。

●三代目魚武濱田成夫
客電が消え、バンドがステージに現れて位置に付く。
そこへ三代目魚武濱田成夫が登場。
いきなり歌いだされたのは「ファイト!」(83)であった。
この最初の一節でゾクゾクしてしまった。
オープニングからいきなりクライマックスだ。
僕はバンドがどの時点で入るのかと待っていたが、結局はアカペラで歌いきってしまった。
バンド・アレンジになっていても良かったと思うが、これはこれで素晴らしかった。
続いては「サーモン・ダンス」(05)の一節であり、
Eventのタイトルでもあるサビの歌詞を歌い、ステージを去っていった。

●坂本美雨
バンドが音を出す。
ステージ袖から彼女が現れて歌いだしたのは「空と君のあいだに」。
泣きそうになった。
これまで何度この曲を聴いたかわからないほどなのに、
「こんなにいい曲だったのか…」と改めて思ってしまった。
ちなみに僕はTVドラマ『家なき子』は観ていない。
人によってはこの曲を聴くと安達祐実が思い浮かんでしまうと思うが、
僕はそんなことが無い。観ていなくて本当に良かったと、心から思った(笑)。
続けて「銀の龍の背に乗って」(03)。
新旧TVドラマ主題歌の連発は、オープニングとしては最高の選曲だったと思う。
それにしても坂本美雨のヴォーカルは不思議だった。
言葉にするとふわ~っという感じ。凄く良かった。
この2曲にとても合っていたと思う。

●小泉今日子
僕はキョンキョンとほとんど同じ世代なので、
もちろんアイドルとしての全盛期も知っているが、生で観るのは初めてだ。
特にファンでは無かったのだが、
実は今回、観ることができるのはとても楽しみだったのだ(笑)。
彼女は「元気ですか」(78)をカヴァーしているのでそれを朗読するのかなと思っていたが、
何と中島みゆき最大の問題作であろう「4.2.3.」(98)をぶちかましてくれた。
バンドの演奏に乗ってこの曲を語る小泉今日子というのは凄いシチュエーションだ。
貴重なものを観ることができた。

●浜田真理子
キョンキョンを残してバンドはいったんステージから消え、浜田真理子がピアノの前に座る。
弾き語りで歌われたのは「アザミ嬢のララバイ」(76)と「世情」(78)。
素晴らしかった。
ピアノの弾き語りにこんなにハマル曲だとは思わなかったが、
彼女の解釈が素敵なのだろう。
聴き惚れてしまった。
キョンキョンが " 「世情」を聴くと私の世代はどうしても金八先生を思い出す " とMCしていたが、
浜田真理子ヴァージョンではそんなことは一切無かった。
そんなスキはあの歌には無い。

●小泉今日子
「夢の代わりに」(99)というとても短い詩を再び朗読してキョンキョンはステージを去る。

●浜田真理子
再びピアノだけで、
研ナオコ78年のヒットで知られる「かもめはかもめ」(85)をしっとりと聴かせてくれる。
浜田真理子自身がどんな音楽を演っているのか僕は知らないのだが、
ちょっと聴いてみたくなった。
僕と同じように思った人は多かったのではないだろうか。

●斉藤和義
今回のEventで楽しみにしていた一人。
いったい何を取り上げるのか、凄く興味があった。
一発目はアコースティック・ギターの弾き語りで、何とど真ん中ストレートの「時代」(76)だ!
これは想像していなかった曲だなぁ。
それにしても、彼の弾き語りは清志郎のEvent『新ナニワ・サリバン・ショー』でも思ったが、
圧倒的な説得力を持っている。そのギターと歌だけで納得させてしまう。
続けてバンドをバックに演奏されたのは「キツネ狩りの歌」(80)。
オリジナルをほとんど変えずに、それでいて自分の解釈で崩して歌われたこの曲は、
この日に演奏された曲の中でも白眉。
彼は三代目魚武濱田成夫から歌って欲しい曲をいくつか渡されたそうで、
ここでは演奏されなかった曲も、家で録音してあるらしい。
今後、自分のライヴで歌ってみたいと言っていたから、ファンの皆さんは楽しみですね。
僕も聴きたいな。

中島みゆき云々よりも斉藤和義を観に来ていたファンはたくさんいたようだ。
もし、そんな人たちがここで聴いた「キツネ狩りの歌」を気に入って、
何も知らずこの曲が収録されたアルバム『生きていてもいいですか』(80)を買って、
一曲目の「うらみ・ます」を耳にして…。想像するだけで楽しい(笑)。

●手嶌葵
彼女も初めて観る(聴く)人だ。
歌われたのは「心守歌」(01)と「ホームにて」(77)。
新旧の通な曲という感じだが、これが思ったよりも良かった。
この人も坂本美雨とはまた違った不思議なヴォーカルが魅力だ。

●リクオ
今回のEventで楽しみにしていた一人。
いったい何を取り上げるのか、凄く興味があった。
歌われた2曲とも、2ndアルバム『みんな云ってしまった』(76)からの選曲にはびっくりした。
「彼女の生き方」と「流浪の詩」。
共に彼のピアノが絶妙なアレンジとなって曲が新しく生まれ変わったようだ。
" 中島みゆきさんは自分の生き方に影響を与えた人の一人です " というMCはちょっと意外。

●窪塚洋介
「線路の外の風景」(05)、「無限・軌道」(05)の二曲を朗読。
うーん、明らかに浮いていたような…。
良いか悪いかはわからないけれど、その言葉の飛ばし方とかリズムへの乗せ方、
そして感情の込め方など、全ては僕の好みではなかった。
一言で言えば、ただどなっているだけ。
ここに中島みゆきへのリスペクトはあったのだろうか…。
うーん、僕にはちょっと感じられなかったかなぁ。

●一青窈
実は、密かに楽しみにしていた(笑)。
斉藤和義と同様に、彼女を観に来ていたファンも多かったようだ。
ちなみに今回の出演者で、いちばんステージでMCしていたのが彼女。
恋の話が多かったので、どうしたってちょっと前の不倫騒動を思い浮かべてしまうが(笑)。
しかも、歌われたのは桜田淳子77年の大ヒット曲「しあわせ芝居」(79)だ。
まさか自分の心境に合わせた選曲じゃないだろうな(笑)。
続けては、柏原芳恵83年の「春なのに」(89)。まさに今の時期にピッタリな曲。
歌を途中で間違えてしまい、やり直すというハプニングがあったのだが、
これはライヴらしくて良かったな。
何だか歌とか演奏以外で印象に残ったパートだった(笑)。

●金子マリ
今回のEventで楽しみにしていた一人。
いったい何を取り上げるのか、凄く興味があった。
まずは「後悔」(00)。
中島みゆきを聴きこんでいるファンでなければ、
歌われた瞬間にはわからない通好みな曲だ。
しかし、これを選んだ金子マリはさすがとしか言い様が無い。ピッタリである。
さらに驚いたのが次の曲である。
「ヘッドライト・テールライト」(00)。これを持ってくるとはー!
NHK「プロジェクトX」最終回での中島みゆき自身による熱唱が強烈だったので、
あれを観たらとてもカヴァーなんてできないと思うが、金子マリ・ヴァージョンは素敵だった。
想像してもらいたい。あのソウルフルなヴォーカルでこの名バラードを歌うのである。
観ていなくても、たぶん思い浮かべてもらったイメージそのままだと思う。
しかも、しっとり系ではなく、ハードなバラードなのだ。
この辺のアレンジは、高野寛さすがである。
ただ、金子マリ自身、かなり緊張していたようだ(笑)。実質的にトリだもんね。

●三代目魚武濱田成夫
「狼になりたい」(79)で最後を締める。
発表時から思い続けているが、これはやはり名曲である。

アンコールは、演奏は無く、三代目魚武濱田成夫による出演者全員の紹介とコメント。
最後は中島みゆきへのアンサー・ソングならぬアンサー・ポエトリーで終了した。

終わってみれば3時間近くの長丁場。
それぞれのアーティストのファンならば、たった二曲という割り当ては物足りないと思うけれど、
僕のように中島みゆきの歌を視点に観た人には満足できる内容だったのではないだろうか。

※追記
コンサートの舞台監督やステージ・プロデュースをやられている方のブログに、
今回のEventに関する貴重な記事がありましたのでご紹介します。
ひろっさんのムラマメ日記

P.S.Ⅰ
斉藤和義がMCで「こんばんは。山崎ハコです」と言っていた。
このギャグは彼のファンに伝わったのか(笑)。

P.S.Ⅱ
座席が前だったからかもしれないし、気のせいかもしれないが、
小泉今日子と金子マリがステージに出た時だけ、会場に良い香りが漂っていた。
彼女達の香水かな?
ちなみに小泉今日子は「今日は朗読だけだったけれど、次があれば歌いたい」と言っていた。
次はあるのかなー?

P.S.Ⅲ
このEventに、是非チャボと竹中直人を呼んで欲しかった。
仲井戸麗市と中島みゆき。僕には同じ資質を持つと思われるアーティスト同士だ。
この二人は、お互いに絶対にハマルと思うのだ。

P.S.Ⅳ
後から調べたら、カヴァー集『元気ですか』と結構共通する選曲だったな。
何らかの理由があるのかもしれない。


オムニバス, Bank Band, 中島みゆき, 小谷美紗子Trio+100s, 小谷美紗子Trio, 徳永英明, 坂本昌之, 坂本冬美, 高野寛, 槇原敬之 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ(2006/06/14)
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よいライブでよかったですね!

こんばんは。
実は最近自分のPCが調子悪くて、98でこちらのページをのぞいたらものすごい文字化けでお邪魔できずにいました。
それにしてもすごいイベントだったんですねぇ 個人的にはリクオさんが気になりました。怒鳴る朗読はちょっとねぇ。。。

yukoさん

>個人的にはリクオさんが気になりました。
出演者それぞれのファンもいたと思うけど、斉藤和義と一青窈のファンは多かったみたいです。
例えば、リクオや金子マリを初めて観る人もたくさんいたはずです。
そんな人たちにはかなりアピールできたんじゃないかなー。
特にリクオは良い意味で自分の世界を作り上げていて浮いて(笑)いましたよ。
たった2曲の間に、フェスティバルホールをライヴ・ハウスのノリにしてしまいましたから。
客席から自然に手拍子が起こったくらいですからね。

>怒鳴る朗読はちょっとねぇ。。。
これはねぇ…。厳しかったですね(笑)。

観たかったなあ~♪

凄そうなイベントですよねえ~。
リクオとせっちゃん、観たかったなあ~。

中島みゆきはですねえ、高校の頃かな、
「悪女」あたりの頃に聴いたぐらいでですね。
紙一重ではまり損ねて今日にいたってるんですよ。

この週末、イベントの仕事があってですね、
大型の液晶テレビで、昨年のかな…
拓郎やかぐや姫のつま恋のライブをリピートしてて、
なんとな~く眺めてたんですが、
みゆきさんの登場のシーンは凄かったですね。
あんなに凛として、登場と共に空気変わってましたね。
ちゃんと聴いてみようかな…(笑)

RE2Oさん

>中島みゆきはですねえ、
>紙一重ではまり損ねて今日にいたってるんですよ。
私は斉藤和義とリクオにはまり損ねています(笑)。
何だかんだでEvent等で良く観ている二人ですが、ソロでは一度も無いですね。
特に斉藤和義は観るたびに好印象になっていくので、CDくらいはまともに聴きたいと思っています。

>みゆきさんの登場のシーンは凄かったですね。
あれは本当に凄いですよ。マジで歴史的なシーンだと思いますよ。

うわあ

すごい!こんなイベントだったんだ。
豪華メンバーですね。
というか、この人たちがみゆきさんのこの歌を歌ったんだあと思うと・・。
見てみたかったなあ。

nobuさん

想像以上に良かったです。
2曲ずつの受け持ちなので、アーティスト毎のファンには、どうしても物足りなかったかもしれません。
でも、私のようなファンには最高でした。それにしても素敵な曲達ですよ、ホント。
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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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