TOM VERLAINE / TELEVISION

ポン、ポーン…。ピーン…。

曲が終わるごとに、必ずギターをチューニングする。
観客はそれもライヴの1部、いや、曲として聴かされる。
息を呑むような独特な緊張感。声をあげられるような雰囲気では無い。
チューニングを終えると、次の曲へ進む。
MCも無い。
ただ曲が立て続けに演奏されていく。

1987年5月21日。よみうりホール。
そのステージにいる男は、
所謂ニューヨーク・パンクを代表するバンドであったテレヴィジョン。
そのテレヴィジョンのギタリスト兼ヴォーカリストだったトム・ヴァーラインである。

僕は最初のパンク・ムーヴメントを10代でリアル・タイムに体験したのだが、
完全にイギリスであった。圧倒的にロンドン・パンク。
セックス・ピストルズ、クラッシュ、そしてストラングラーズだった。
ニューヨーク・パンクとして知っていたのはパティ・スミス、ラモーンズと、
トーキング・ヘッズくらいだっただろうか?

当時、テレヴィジョンというバンドについてはまったく記憶が無い。
テレヴィジョン、そしてトム・ヴァーラインのギターに僕がのめり込んだのは、
二十歳を過ぎてからである。

テレヴィジョンというバンドは、ある意味で伝説化されていた。
二つのこの有名な文句。

  我々はドアーズと同じエレクトラ・レコードと契約した

と「マーキー・ムーン」で77年にデヴュー。

  モビー・グレイプのように、満月の夜に解散しようと思ったんだ

と、2nd「アドヴェンチャー」を78年に発売後、すぐに解散してしまったのだ。
よって、オリジナル・アルバムは2枚しか無い(78年時点で)。
例えば、同じ伝説と言ってもビートルズはそれこそ資料や映像、音なんかも溢れていた。
しかし、テレヴィジョンはそうはいかない。
音はともかく、映像は断片的なモノしか無かったし。

トム・ヴァーラインをはじめ、各メンバーはソロ活動をしていたとはいえ、
やはりテレヴィジョン自体の生のライヴを体験したことが無いのはもちろん、
映像としても観た事が無い僕としては、どうしても観たい聴きたい人であった。
ソロ作品のレコードを聴くだけでは物足りなかったのだ。

だから、87年の来日は念願だった。
だってこの時に引き連れてきたメンバーも凄かったんだもの。
ベースはテレヴィジョンのフレッド・スミスだし、
ドラムは何とパティ・スミス・グループのジェイ・ディ・ドゥーティ。
ギターは、後にミック・ジャガーのソロ来日公演で、
完璧にキース・リチャーズになりきっていた男、ジミー・リップであった。
ちなみにこのリップ、なかなか器用なギタリストなので要チェックです。

ライヴの基本的なメニューは、
当時の新作「フラッシュ・ライト」からの曲を中心にしたソロ・ナンバーだった。
テレヴィジョンの曲を当然期待したが、
演ってくれたのは「GLORY」と「MARQUEE MOON」だけである。
それでも彼の生のギターに初めて触れたのは感動であった。
どうしたらあんなギターが弾けるんだろう、あんな音が出せるんだろうと、
客席のシーンとした雰囲気とは逆に、僕自身は盛り上がっていて満足であった。

トム・ヴァーラインのギターは、ブルース色はまったく無い。
それどころか、所謂ロック・ギターと言われる様な演奏パターンやフレーズ。
そんなものとも無縁である。
誰に影響を受けたのかがわからないが、ギターをギターとして演奏しないという発想から、
あの独特なギター・ソロのフレーズや決定的にカッコ良いリフが生まれたような気がする。
別にチョーキングしなくてもいいのだし、早く弾かなくてもいいのだし、音が外れたっていいのだ。

また、テレヴィジョンはもうひとりのリチャード・ロイドというギタリストも凄いのだよ。
こちらはトム・ヴァーラインをよりカッチリとさせたタイプで、この2本のギターが絡み合い、
そこにあの神経質なトムのヴォーカルが加わる。
そりゃ唯一無二のサウンドが出来上がるに決まっている。

ニューヨーク・パンクで括られてはいるが、
パンクというイメージの音から最も遠いバンドであるので、
まだ未聴の人は何の先入観も無しに聴いてみると良い。
きっと生理的に激しく拒絶をするか、
それともずっぽりとはまってしまうか…のどちらかであろう。

ちなみに、ヴァーラインの名前はペン・ネームである。
フランスの詩人ヴェルレーヌの綴りを英語で読んだものだ。
このセンスが良いのか悪いのかがわからないが、僕は好きである。


この1枚 TOM VERLAINE -1979-

テレヴィジョン解散後に発表された1stソロ。邦題は「醒めた炎」。
かのミュージック・ライフ誌のレコード・レヴューでも5つ★の評価であったと記憶する。
名盤である。
1発で彼が弾いているとわかるギター・リフは健在。
トム・ヴァーラインのソロ作は、すべてリフがカッコイイ。
キース・リチャーズのようにコード・カッティングでザクッとしたリフではなく、
メロディというかフレーズなのである。
1曲目の「the grip of love」のイントロを聴いた瞬間は、本当にゾゾッとトリハダたった。
カッコよくて。
A面3曲目の「kingdom come」は、後にデヴィッド・ボウイにカヴァーされた名曲。

トム・ヴァーレイン
LOST HOUSE A.C
発売日:2009-04-22


さらにもう1枚 MARQUEE MOON -1977-

やっぱりこのアルバムを聴かないとトム・ヴァーラインは始まらないので。
パンクという言葉だけで語ることは無意味。
ニューヨーク、いやアメリカン・ロックさえ代表する作品。


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ヴァーレインは本当にユニーク。
楽しく読ませて頂きました。

Re: akira1984さん

後のテレヴィジョン初来日はずっこけさせてくれましたが、
ソロでの来日は最高でした。
コメントありがとうございました。
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Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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