新井田耕造

コーちゃんは何だか不思議なドラマーだった。

RCのサウンドを決定付けていたのは、まず清志郎のヴォーカル。あの声。
そしてチャボのギター。
バッキングはともかく、ギター・ソロはチャボしか弾かないフレーズ満載。
チャボのギターをコピーすると、完全にその手癖が付いてしまうくらい強烈な個性がある(あった)。
こんな二人に負けない個性がRCにはもうひとつあった。
新井田耕造のドラムである。これがまた個性あるサウンドであった。

そうは言っても、コーちゃんのドラムに特徴が出てきたのは途中からである。
アルバムで言うと「OK」以降かな。
この時期あたりからタイコが固くなっちゃったんだよね。
それが独特なRCサウンドを生んでいた。
スタジオ作ではそんなに感じられないが、ライヴだと特にそれは顕著だった。

人が叩いているんだけど、何だか丸くないというか、温かみが感じられないとか、
あまりうまく表現できないし悪い形容になってしまうのだが、そんな感じ。
コーちゃんだけ「わが道を行く的」な演奏をしていたので、
ドラムだけが何だか浮いてしまっていたと思う。
特にバラード系の曲を聴けば、その特徴がわかるはずだ。
メンバーの感情が楽器を通して演奏に反映されていくのがバラードの聴きどころだと思うのだが、
コーちゃんはそんなのお構い無しに、機械的なタイコを叩くという特徴があった。

「ティアーズ・オブ・ア・クラウン」の「ヒッピーに捧ぐ」を聴いてほしい。
これがサンプルとしてわかりやすい。
特に曲の終盤、清志郎のシャウトとチャボが弾くフレ-ズで盛り上がるアレンジだが、
コーちゃんの”歌っていない”ドラムとのマッチングがずれており、
聴き手は感動したいのだが、感情移入が出来ない。
80年代中盤以降のコーちゃんは、良くこんなドラムを叩いていた。
ちなみに「ティアーズ・オブ・ア・クラウン」は、
所謂RCクラシックスな曲に限って機械的なドラムとなっている。
「雨あがりの夜空に」も、こんなに一本調子な曲じゃなかったはずだ。
今聴いても違和感がある。

と、何だかコーちゃん批判になってしまったが、
「RHAPSODY NAKED」を聴くと普通のロック・ドラマーなのだ。
しかるべきところにアクセントのシンバルも入るし、オカズもノーマルだし、叩き方もやわらかだ。
これを続ければ良かったのにと思うのだが、どうして変わっちゃったのかな。

さて、突然コーちゃんネタを書こうと思ったのには理由がある。
僕は昔、コーちゃんにギターのケースにサインをしてもらったことがあるのだ。
押入れからそのギター・ケースが出てきたので、つい懐かしくなってこれを書いている。

まだ僕がバンドをやっていた頃のある日。RCサクセションも現役だった。
某私鉄沿線の駅沿いにリハで使用していたスタジオがあった。
そこを経営していたのは僕らの友人だった。
ある日、そいつから情報が入る。

 「RCのコーちゃんがうちのスタジオに個人練習で来るようになったよ」

僕と一緒のバンドのメンバーであったドラマーとは、80年4月5日の久保講堂へ行っているのだ。
よって、もちろん二人ともRCの大ファンである。

 「今度コーちゃんが来たときは連絡をくれよ」

と僕らはそいつに伝えた。そして、その日がやって来たのである。

連絡を受けた僕らは、車でスタジオに向かった。
RCサクセションのメンバーである。とにかく会いたかった。
練習の邪魔をするつもりも無いし、騒いで迷惑をかけないようにするためにも、
コーちゃんのリハが終わるまでおとなしくしていた。でも、心臓はドキドキしていた。

コーちゃんがスタジオから出てきて僕らの前を通り過ぎた。思ったよりも華奢だ。
こんな身体であんなバンドのボトムを支えているのか…。
そうこうしているうちにそのまま外に出て行ってしまった。
行くしかない。

僕らはコーちゃんを追いかけた。
僕はギター・ケースを持ち、ドラマーはバスドラのスキンを持って走った。

 「新井田さん!」

僕らの突然の呼びかけにびっくりしたようだが、
コーちゃんはサインのお願いに気軽に応じてくれた。

 「僕たち、久保講堂の時からのファンなんです」
 「へぇ~、ずいぶん古くからなんだね」

なんて会話をしたのを憶えている。

僕が現役のRCサクセションのメンバーにサインしてもらったのはコーちゃんだけである。
80年代のRCサクセションは僕にとって雲の上の人たち。
会うこと、いや見ることなんてライヴしか無かった。

実はRC時代のチャボにも会ったことがあるのだが、
このエピソードはまた後に書こうと思っています。

さて、コーちゃんのサイン。
今でもこれは宝物だが、実は後に思いっ切り後悔したのだ僕は。
何故、その時に思いつかなかったのだろう。
こう言えば良かったのに…。

 「新井田さん、RCサクセションと書いてください」と…。
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1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

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