常夜灯 / 中島みゆき -2012-

39枚目(!)のオリジナル・アルバム。
まずはこのことに驚きと尊敬。
以前もここに書いたことがあるけれど、
アルバムのリリースはベストやライヴを含めれば50枚近いだろう。
その間にはシングルもコンスタントに発表している。
そしてライヴ本体はもちろん夜会のステージ。
忘れちゃいけないラジオのパーソナリティもある。
彼女はまったく止まることなく音楽活動を続けているのだ。

ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2012-10-24

部屋に流れた途端の懐かしさ…というか、
なかなかうまい言葉にできないこの感じ、この雰囲気。
ここ最近の新作に感じるこれこそがぼくにとっての中島みゆきの魅力のひとつだ。

しっとりと始まったと思ったら、あの迫力のある濡れたヴォーカルが聴こえる。
タイトル曲でもある「常夜灯」は歌詞を観ながら聴くと映像が浮かぶが、
常夜灯というのは街の灯りではなく、
あの人が消し忘れて行った灯りと歌われる。
秀逸な歌詞。
1曲目から盛り上がる。

このように歌詞に注目するのは毎度のことだが、ヴォーカル・スタイルも相変わらず。
アタマから3曲続けて聴く。4曲、5曲と更に続く。
すべてのヴォーカル・スタイルが違う。
いつものことだとわかっていても凄い。
まったく知らない人には同じ人が歌っているとは思えないかもしれない。

意識的なのか、核になるような曲であっても、
特にドラマチックなアレンジになっていないと思う。
アップテンポでキャッチーな曲も「恩知らず」以外は収録されていない。
ハードでロック的に盛り上がる曲もない。
マイナスな表現をすれば、最近作の中では地味な作品かもしれない。
確かに音はそうだと思う。
ただ、そのおかげで歌われていること…歌詞はこれまで以上に響き、沁みてくる。
いや、そうするためのアレンジとサウンドなのかもしれない。

音を流さずに歌詞だけをすべて読んでみた。
そこには音はいらないかも…なんてことさえ思ってしまう作品が並んでいた。
その後、音と一緒に再び目で追ってみた。
あぁ…やはりこれは歌詞…音楽。
中島みゆきの音楽なんだ。

 これまでも これからも みゆきの心歌は
 変わりなく 産み続けられていく あなたの奥底に届くまで。

CDの帯のコピーにはこう書かれている。
「風の笛」「月はそこにいる」のような曲が聴けるなら、
40枚も50枚も60枚ものオリジナル・アルバムを産み出し続けてほしい。
ココロからそう思う。

名作で傑作。
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No title

私なんかだと、せっかくVinnie Colaiutaをドラムスで起用しているのだから、また、「荒野より」の「帰郷群」みたいな作品を入れてほしかったと思いました。わたしは、「羊の言葉」みたいに、演奏家に才能を発揮させる作品が好きです。

Re: enneagram さん

> せっかくVinnie Colaiutaをドラムスで起用しているのだから

私の知る限りですが、音楽的な話があまり表に出てこない人なので、
起用するミュージシャンのことについても、確かになかなか伝わってきませんね。
ベックの後ろで叩く彼を観て " 中島みゆきでも叩いているんだよなぁ " と、
結構驚いてたりします。

> 演奏家に才能を発揮させる作品が好きです。

なるほど、納得です。
そういう視点で聴いてみると違った魅力が発見できそうです。
コメントありがとうございました。

No title

またお邪魔します。

ミュージシャン・クレジットとエンジニア・クレジットに依拠した、中島みゆき関連音源の数々を、私のブログでかき集めています。それこそ、マドンナ、ピンク・フロイド、エルトン・ジョンから杏里、甲斐よしひろ、松田聖子まで。(笑)よろしかったら、私のブログをご覧になってください。

その辺の話を少しすると、中島みゆきによる、エンジニアのDavid Thoenerさんの起用は、おそらく彼のボン・ジョヴィのアルバムでの仕事がきっかけで、ご存知かもしれませんが、ドラムスのGregg Bissonetteは、かつてヴァン・ヘイレンのリード・ヴォーカルのデイヴ・リー・ロスのソロバンドに、Streve VaiとBilly Sheehanと一緒に在籍していました。中島みゆきは、ボン・ジョヴィとヴァン・ヘイレンの影響を強く受けているみたいです。

なお、Vinnie Colaiutaは、ケイト・ブッシュのベーシストのJohn Giblinと一緒に仕事をしたことがあります。中島みゆきとケイト・ブッシュは、直接の交流はなくても、お互いの動向は、起用しているスタッフを通して、お互いに、非常によく知っているみたいです。

Re: enneagram さん

> ミュージシャン・クレジットとエンジニア・クレジットに依拠した、中島みゆき関連音源の数々を、私のブログでかき集めています。それこそ、マドンナ、ピンク・フロイド、エルトン・ジョンから杏里、甲斐よしひろ、松田聖子まで。(笑)よろしかったら、私のブログをご覧になってください。

わわ、ありがとうございます。
チラッと拝見しましたが、何だか興味津々です。
またゆっくりとお邪魔させていただきます。

名義について

あの、話にくいことだけれど、「作詞、作曲 中島みゆき」っていう名義について、本当に真に受けてらっしゃいます?毎年、オリジナルアルバムをずっと発表しつづけられるほど、みゆきさまは、本当に、多作なのでしょうか。

私なんかは、瀬尾一三先生とか、小林信吾さんとか、中村哲さんが作った歌を買い取って中島みゆき名義にしていたり、ロサンゼルスのミュージシャンにセッションさせて作らせたコード進行やメロディーに、瀬尾先生と小林さんが作詞支援ソフトをつかって歌詞を乗っけて歌にまとめて中島みゆきが創作したことにしているとか、そういうことはたくさんあるのではないかと思っています。

B'zなんかは、ボン・ジョヴィのソングライターのデズモンド・チャイルドやジョン・シャンクスに外注して作曲してもらっている、歌詞は作詞家に依頼して後で曲先でとりつけているという話を聞いたことがあります。エアロスミスのゴーストライターも、デズモンド・チャイルドやジョン・シャンクスだという話を聞いたことがあります。

みゆきさまのエンジニアのDavid Thoenerは、ボン・ジョヴィやエアロスミスの重要な仕事をしたことのある人です。みゆきさまも、デズモンド・チャイルドやジョン・シャンクスにお世話になっている人たちの一人である可能性は否定しきれないものがあると思います。

わたしが、ソングライターとしての中島みゆきにほとんど注目せず、彼女の音楽プロデューサーとしての側面にばかり力を入れて分析するのは、そういう、「邪推」もしていてのことなのです。

フランク・ザッパやシューベルトでもあるまいし、曲作りに専念できているわけでもないひどく多忙な中で、30年くらいの間に、名曲を、500も600もひねり出せるなんて、そんなこと、常人に可能だと思いますか。

中島みゆきは常人ではないといえば、そうかもしれないけれど、それにしても、作詞作曲の名義というのは、そんなに信頼できるものではないと私は思っています。

追加

付け加えます。

みゆきさんの最近のアルバムのうち、各アルバムの、2、3曲くらいは、本当に彼女の作品だと思います。でも、アルバム制作のレコーディングというのは、通常、50曲か60曲くらい(ローロング・ストーンズだと100曲以上)用意して、各曲100トラックくらい使って録音して、いろいろミックスダウンをした後、10曲くらいを選択して、マスタリングにまわすのだそうです。毎回、作られた歌のうち、8割くらいはお蔵入りのお釈迦です。そんな創作能力が、本当に彼女ひとりにあると思われますか?最近の彼女は、ほかの人に対する楽曲提供さえ少なくなっています。夜会で使った曲の採用が増えたり、リメイクが増えたり、確実にみゆきさんの創作能力はかつてより枯渇しているのです。

コーラスシンガーの坪倉唯子さんだって、みゆきさんのゴーストライターの一人かもしれないし、David Thoenerさんだって、もしかしたらソングライターとしての能力を買われて、ほかのエンジニアを駆逐して中島みゆきさんの仕事を独占するようになったのかもしれないし、いろいろ憶測できる材料は事欠かないのです。

まあ、こういう話をされてしまうと、げんなりする人も多いかもしれないけれど、それでも、中島みゆきは不世出のエンターテイナーである、と考える私は、音楽プロデューサーとしての彼女の力量に注目するのです。

繰り返しますけれど、たぶん、中島みゆき名義の作品の、ここ15年から20年くらいもののの半分以上は、瀬尾一三先生や小林信吾さんやそれ以外の外注作家たちの作品やスタジオミュージシャンたちのセッションから生まれた作品だろうと推測します。それらにもみゆきさん自身の関与があるとしても、根幹に関するものではなく、部分的なものでしょう。

しかし、それでもなお、中島みゆきとその作品群は輝きを失わないわけで、それは、彼女の霊的な部分に源泉を求められるものだろうと思っています。

おまけ

アーティストの中には、しっかりしたデモテープを作成し、プレプロダクションに時間をかけ、周到なレコーディングをする人もずいぶんいるといいます。中には、デモテープをそのままシングルカットできる水準まで構築する人さえいるそうです。

しかし、われらのみゆきさまは、毎年オリジナルアルバムをリリースされているわけで、5年か6年に一回アルバムリリースするような英米系のアーティストたちとはわけが違います。そういう人たちは、一度に、世界中で、500万枚も600万枚も、あるいは1000万枚以上もアルバムを売り上げる人たちだろうと思います。だから、こだわりの技を見せられるわけです。

みゆきさまには、準備作業にそんなに多くの時間と予算が割けるような余裕があるとは思えません。

2006年からは、David Thoenerさんを東京に呼び出してミックスダウンさせるようになっています。たぶん、みゆきさまは、行き会ったりばったりということはないにしても、最後の最後に完成するまで、アルバムがどんな風なものになるのか、わからないような、危ういレコーディングをされているのではないかと推測しております。

Re: enneagram さん

> 「作詞、作曲 中島みゆき」っていう名義について、本当に真に受けてらっしゃいます?

enneagramさんのお考えも私なりに理解できますが、
そのうえで、私自身は「作詞、作曲 中島みゆき」である…というスタンスです。

No title

blueさまのような、多くの純粋な支持者に支えられて、みゆきさまもみゆきさまでいられるのだろうと思われます。安易に私に同意してくださらなくて、かえって安心しました。

わたしのように、仮にどれほどのごまかしや粉飾が重ねられていようとも、それによって、中島みゆきの偉大さはまったく損なわれることはない、中島みゆきは多くの偉業をなしとげているのである、というひねくれた態度の持ち主ばかりだと、かえって、みゆきさまもやりにくかろうと存じます。

それでも、ときたま、こういうひねくれたみゆきファンも中には混じってくるという一例が私です。

Re: enneagram さん

ひとり一人のファンの想いや意見や考え、すべてが違うのです。
違う意見や考えの他人を否定したり、攻撃したりしなければいいのです。
私はenneagramさんがひねくれてるとは思いません。
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1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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