ちょっと長い関係のブルース - 君は浅川マキを聴いたか

想像していた以上…いや、それどころか、
想像していたものをはるかに上回る、素敵なエッセイだった。

編集した喜多條さんによれば、
前半の第一章は、月刊 『遊歩人』という雑誌に載った、
「君は浅川マキを聴いたか…」というリレー・エッセイらしい。
もちろん彼女の生前に書かれたものだろう。
そして後半の第二章は、当然、そこに依頼されるべき人が、間に合わなかったけれど、
これだけは書いておきたいから…ということで書かれたもので構成されている。

第一章から素晴らしいエッセイが続く。
著者は年代的に1940年から1950年前後生まれの人が中心だ。
よって、浅川マキをテーマに68~70年あたりの激動の時代が描かれているものが多い。
ちなみに、僕が優れたエッセイだと思う理由のひとつは、
決まったテーマがあっても、それをもとに書いたその人自身が語られているかどうか…だ。

第一章に収録されたエッセイすべてが浅川マキを語り、そして自分を語っている。
リアルに、楽しそうに、胸をはって、自慢げに、嬉しそうに、懐かしそうに…と、
こんなことを書いているとキリがなくなるが、
とにかくその人が浅川マキを通して自分を大いに語っている。
だから、読む僕は感動する。
知らない時代のことでも、知らない名前があっても、感動する。
本当に素敵で素晴らしいと思ったし、実際に素敵で素晴らしい。

第二章。
ここからは亡くなった後に書かれたものになるので、ガラッとトーンが変わっている。
所謂、追悼文的なものが並んでいるため、もちろん切なくなるが、不思議と読後感は悪くない。

そして、何といってもこの本の最後を締めくくる三人だ。
まずは初代プロデューサーとして彼女を支えた寺本幸司さん。
2009年11月にマキさんからもらったという手紙で始まる寺本さんの文章は、
まるで浅川マキの優れたドキュメンタリー映像を見ているのかと錯覚する。
ヘタな短編小説以上の読み応えがあるものだった。

二人目は、彼女を撮り続けたカメラマンの田村仁さん。
マキさんの自宅を訪ねた時の様子が書かれた短いものだが、
きっとタムジンさんしか書けないであろう素敵な文章だった。

三人目はこの本の編集を務めた喜多條忠さん。
あとがきを兼ねての文章である。
最後の最後で、このあとがきの後に空白のページが設けられていることが明かされる。
ここは、この本を手にした人が書くページとなっている…と。
たったひと言でも書いてやってください…と。
マキを喜ばせてください…と。

何も知らないでこのことだけを知ったら、何てベタな演出なんだと思われるかもしれない。
でも僕はここを読んで、泣けて泣けて仕方がなかった。
今も282ページを読むと、一瞬で視界がぼやけてしまう。

最近になって浅川マキを本格的に知り、のめり込んでいるが、
僕がとても強く感じていることは、
マキさんの周りは何て素敵な人たちばかりだったのだろうということだ。

昨年末のピットイン。
渋谷毅さんがプロデュースした3日間の追悼ライヴ。
その最終日の本当のラスト。
金子マリさんが渋谷さんに言った " マキさん、本当に喜んでるよ " のひと言。
これがとても印象的な言葉として残ったのだけれど、
そのときは単に " あぁ、そうなのかな " 程度だった想いが、
マキさんを、マキさんの周りを少しずつ知っていくにつれ、
今では " あぁ、本当に喜んでいるんだろうな " に変わってきている。
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1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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