ひとときのうた 新谷祥子マリンバシアター2016 キッド アイラック アート ホール 2016.12.1

キッド アイラック アート ホールでのマリンバ・シアターは4回目。
しかし、残念ながら会場が年末で閉館ということで、ここでは最後の開催となった。
もちろん新谷さん本人はこのシリーズを続けていくことを宣言していたが、
それでもラストらしく、前半は過去3回のプログラムを振り返る構成で進んだ。

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1回目はゲストに山本祐介さん(vibraphone)を迎えての寺山修司没後30年トリビュート
2回目は3rdアルバム発売記念ライヴ
3回目はオカリナの君塚仁子さんをゲストに迎えた鳥を歌う、鳥を弾くと題されたライヴ

これらの様子を語りながら、そこに纏わる曲を演奏していくのだが、
そのときに演ったのとは別の曲を披露してくれたのが実に新谷さんらしい。
中でも、歌詞に鳥が出てくることで歌われた「雪が降る」は、
演奏と歌はもちろん、照明の演出も含めて印象に残るハイライト・シーンだった。

さて、4回目のこの日。
新谷さんのオリジナル曲を聴きたいという僕自身の希望は叶えられたのだが、
やはり、というか、またしても、というかの新谷祥子だった。
これまでのライヴ同様、ほとんどが新曲であった。
発表されている3枚のアルバムには、もちろんライヴの核となりうる曲もあるし、
この日に限っても、テーマに似合うというか、相応しい曲だってあったはずだ。
それでも、彼女は新曲を演るのだ。

演奏よりも歌うことが上になり、
言葉をつけることが先にくるというニュアンスのMCがあったように
今の音楽的キャパシティで最大限に占められ優先されているのが " 歌 " なのだろう。
もしかしたら、マレットでマリンバを叩けば、
その一音ごとにひとつの言葉が生まれているといった状態なのかもしれない。
そう思ってしまうほど、ステージ上の彼女からは歌うことの喜びと楽しさが伝わってくる。
歌われる唄、奏でられる音だけでなく、
こうした本来なら見えない感情を掴めることが、新谷祥子のライヴの魅力だ。
だから感動するのだ。
もはや彼女の世界は演奏と歌だけで表現されるものではない。
ステージに立つその存在そのものがひとつの表現となっていたと思う。
表現者・新谷祥子を強く感じた80分だった。

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タイトルの ひとときのうた は、
マリンバ弾き歌いを意味する 人と木 であり、
日常を離れることの 非と時 でもあるという。
まさにその通り。
そこには人と木の響きあいがあったのみ。
キッド アイラック アート ホールに非と呼べる時が生まれていた。
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お寺でSinger Song Marimba 新谷祥子木々打ち唄うラブソング 八王子市龍見寺 2016.7.2

昨年のちょうど一年前に続いての八王子龍見寺でのライヴ。
7月になったばかりだというのに、既に真夏を思わせる日差しを浴びて館町を歩く。

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前回は雨天だった。ただ、おかげで雨音と風の音、
そして鳥の鳴き声という自然のサウンドが新谷さんのマリンバに色を添えていた。
それは今回も同様だった。
お寺ならではの独特な音の響き。
そして鳥の声や水の音など自然のSEに囲まれた雰囲気はここでしか味わえない。
途中でヘリコプターの音も聞こえてきたが、それさえも演出になっていた。
実際には、新谷さん自身は出音に苦労していたようだが、
この場所ではバランスや大きさだけでははかれない音を聴けることが魅力だ。

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テーマはラヴ・ソング。
新谷さんのオリジナル数曲と、多くのカヴァーで構成されていた。
カヴァーはいつも通りに直球な選曲で、音楽好きならばすぐに反応できる。
たとえばビートルズの「イエスタデイ」や中島みゆきの「糸」などがそれだが、
マリンバ弾き語りと言うのがミソで、こうした聴きなれた曲でも初めて触れる音になるわけだ。
個人的にグッときたのは「スカボロー・フェア」。
お寺という会場にマッチした、実に美しい音が鳴っていた。
オリジナルでは3rdアルバム収録の「長い旅」。
CDではしっとりと歌われているのだが、
ライヴではリズミカルにアレンジされたヴァージョンになっている。
しかし、新谷さんはここに電車が走る音、
がったんごっとん、しゅっしゅっぽっぽ…を加えるのだ。
これが実に曲調にマッチする。
もちろん聴く側のアタマには電車の映像が浮かぶわけで、
単に観て聴くだけではない体験をすることになる。
どこまで意識的なのかはわからないが、ライヴとしては素晴らしいアレンジだと思う。

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中盤で仲井戸麗市の「プレゼント」が歌われた。
ラヴ、愛、LOVE…は、人と人のものだけではなく、
もっと大きなものと捉えた曲…というようなニュアンスで紹介していたが、
この日のテーマが、まさにそれだったと思う。

新谷さんがラヴ・ソングをテーマにしたお寺でのライヴを観た後、
僕の中に残った自分にとっての愛、そしてラヴ。
それは一般的な男女間の愛や恋を指すものだけではなく、
ほんの小さな毎日の中での、しかし確実に存在するもっと大きなラヴである。

いや、やっぱり言い直す。

ライヴ後に残ったのではないな。
残してくれたのだ。
新谷さんの歌とマリンバと、思いや想いが。

君塚仁子&新谷祥子 「木と土と歌と」 二子玉川kiwa 2016.4.16

二人の共演を観るのは2回目です。

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オカリナとマリンバ。
前回は、何しろ初めて体験する音だったので、
うまく言葉としてまとめることができませんでした。
それを自分が使える単語で表すわけですから、
EL&Pを彷彿させるプログレ的な快感というように、
わかったようで実はハッキリしない表現でまとめた次第です。
ただ、演奏から映像が浮かんだのは確かで、
それは今回も同じでしたから、この感覚は間違っていなかったと思います。
特に今回は故郷というテーマが少なからずあったのではないでしょうか。
MCでも触れられていましたし、熊本での地震のこともありましたから、
ライヴを観て聴いたお客さんそれぞれの中に、
故郷や故郷を思う何がしかの映像が浮かんだのではないかと想像します。

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オカリナとマリンバという楽器から想像できるのは、
一般的にはソフトな音だと思います。
しかし、この二人の演奏は、その音色に反してかなり力強いし、
アレンジも即興的なものが多いです。
かつこれまで聴いたことがない組み合わせでもあるので、
気楽に構えていられず、ライヴは独特の緊張感に満たされることになります。
しかし、これがかえって心地良いのです。
たとえば、カヴァーは誰もが知っている有名な曲が取り上げられます。
「コンドルが飛んでゆく」や「遥かなる影」などがそれで、
だからこそ、前述した二人の演奏が魅力的に聴こえるのです。

あの曲をこうするのかぁ…という楽しみ方は、ギターやピアノであれば想像の範囲です。
これがオカリナとマリンバなのですから、やはり新鮮に響きます。
逆に、楽器のイメージからイージーリスニング的な音を想像することも容易ですし、
君塚さんがオカリナで主旋律を奏で、新谷さんがマリンバでボトムを支える形ならば、
おそらく気持ちよく聴くことができるでしょうが、同時にそこにスリルはないとも感じます。
ここでのスリルというのは、よい意味での違和感やノイズ的な要素を指しますが、
これがそのものだけに終わらず、快感になるのが優れた演奏だと思います。
オカリナのフレーズをマリンバで支えるのではなく、ぶつけるというニュアンス。
演奏のこうした特徴から、二人がそれを目指しているのは明らかで、
だからこそ流れていかずに耳に残るのでしょう。

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白眉だったのは「朝日樓(朝日のあたる家)」。
オカリナとマリンバによるアレンジなので、
他と比べようがないのですが、だからこそ印象に残りました。
こうしたチャレンジ的選曲を今後も期待したいです。

オカリナとマリンバを組み合わせれば、
独特の強さと緊張感を持つかと言えば、それは?です。
やはり新谷さんと君塚さんだからこその音なのでしょう。
あらためてそう感じました。
もしかしたら最強の組み合わせかもしれない…と前回は記しましたが、
この気持ちは自分の中で更新されたように思います。

鳥を歌う、鳥を弾く 新谷祥子 Marimba Theater 2015 キッド・アイラック・アート・ホール 2015.11.6

新谷さんのライヴから僕が感じることのひとつに、
プログレッシヴ・ロック的な快感があります。
例えば、仲井戸麗市とのインスト・セッションからは、
無機質で乾いた音…の、イエス的なそれを。
そして金子飛鳥とは、即興的演奏ながらもキメがビシバシ決まる、
計算されたインプロ…のようなキング・クリムゾン的なそれを。
こうした英国のプログレ感は個人的なものですが、実際に感じます。
そして今回の君塚仁子さんとの共演からも、プログレ的な快感がありました。
思い浮かべたのはエマーソン・レイク&パーマーです。

新谷さんと君塚さんのセッションからは映像が浮かびました。
ただし、決してハッキリとした図や景色ではありません。
しかも、それらが何の映像や絵なのかもわかりません。
さらに、花火のように一瞬に浮かんで消えるものばかりでしたが、
間違いなく音から何かの絵が見え、映像を感じました。
思えば、中学生の頃に初めて聴いたEL&Pの『展覧会の絵』は、
そのコンセプトからも、曲を聴きながら絵を思い浮かべられる独特のものでした。
何の知識がなくても、聴いていて実に気持ちがいいものでした。
こうしたことからEL&Pを連想したわけですが、
もちろんプログレ的なことが素敵なのではありません。
何と言ってもマリンバ・シアターです。音から映像が浮かんだことが素敵なのです。

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それにしてもオカリナをかっこいいと思ったのは初めてです。
特に「気ままな悪魔」という曲では、その高音を効かせた演奏が、
ビートルズの「Penny Lane」に入っているピッコロ・トランペットを連想させます。
この日のライヴのハイライトだったと思います。

オカリナもマリンバも優しく柔らかい音ですが、ふたつが組み合わさると、
その優しさと柔らかさが倍増し、独特の鋭さを持って聴こえるのです。
もちろん楽器ではなく、新谷さんと君塚さんだからこその音なのでしょう。
とにかくどう形容していいのかわからないのですが、心地よく耳に突き刺さる音でした。
もしかしたら最強の組み合わせかもしれない…とも感じます。

さて、この日は " 鳥を歌う、鳥を弾く " というテーマでのライヴでした。
オリジナルとカヴァーを含めた鳥に因んだ曲は、
演奏前に新谷さんが解説をしてくれるので、その世界にすんなりと入れます。

印象的な演奏ばかりでしたが、ソロ・パートでは「かもめはかもめ」かな。
中島みゆきの世界も新谷さんには合うということがわかりました。
次は「この空を飛べたら」をお願いしたいと思います。

共演パートでは「紅カラス」。
オリジナルはチャボのギターが素晴らしい効果をあげているのですが、
君塚さんによる味付けは、違う魅力を引き出していました。
新谷さんの歌ものを、この二人のセッションでもっと聴きたいです。
「土」「冬の線路」あたりがいいかなぁ。

マリンバ・シアターのタイトルからすれば、
今回、僕の中に映像が浮かんだことは、まさにシアターと言えるわけで、
そのテーマ通りの内容のひとつだったことではあります。
しかし、新谷さんのシアターはこの程度のものではないでしょう。
音楽…メロディと歌詞。もちろんオリジナルとカヴァー。
そして言葉と詩。
新谷さんがスクリーンに描きたいもの、描かれるもの、
そして描いてほしいものを含めて、僕も一緒に観ていきたいと思います。

お寺でSinger Song Marimba 新谷祥子 Live at 龍見寺 2015.7.4

これまで演ってきたライヴの会場が、たまたまお寺…というのとは訳が違います。
何故その場所なのか…について、ライヴ開催に関わった人たちや、
それぞれの想いや思いなどがMCでも語られました。
生憎の天気は雨…でしたが、それさえも必然のようです。
今日に至るまでの時間や経緯を考えれば、オリジナルが少ないセット・リストも、
新谷さんらしさと言えるかもしれません。
あの場で自分の音楽をどう届けるのか。
どう届けたいのか。
そしてどう届くのか。
こんなことが伝わってきて感動的でした。

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童謡やシャンソンなどが取り上げられる一方で、
「死んだ男の残したものは」やジョン・レノンの「イマジン」が演奏されましたが、
そこで強いメッセージ性を伝えようとしていたわけではなく、
あくまでも新谷さんの生活の中で感じたことからの選曲だったのが素晴らしい。
音楽は音楽として聴いた人の中で曲が膨らみ、意味を持てばよいのです。
そう思います。
ただし「イマジン」の歌詞がRCサクセション・ヴァージョンだったことは記しておきたいです。
あの場では英語ではなく、清志郎の解釈が相応しかったのでしょう、きっと。

オリジナルで「壇の花」という新曲が披露されました。
この曲の演奏中に感じたことがあります。
新谷さんがオリジナルを演るときは、ビートというか、
リズムの立ち方というか、これがとても強くなるように思います。
もちろんドラムやベースなどはいないのですが、
明らかに彼女の中では鳴っているし、自分で鳴らしています…と感じるし、
その上に歌と演奏が乗っているように聴こえます。
これがカヴァー曲になると一変し、歌やメロディと演奏が優先される…と。
僕がこれまでライヴを観てこんな風に思ったのは初めてですが、
今回はとてもクッキリとした違いが見えたような気がしました。

ところで、「壇の花」は仏壇に供える花を考えているときに浮かんだそうですが、
それに似たエピソードとして井上陽水の「夢の中へ」が作られたときの話をしていました。
ちなみに新谷さんから陽水の名が出ることは多く、
実際にライヴで曲もカヴァーしていますし、レコーディングにも参加されています。
今回、他にも「見えない糸」という曲の演奏前のMCでも陽水が出てきました。
色々な意味で影響を受けていることが伺えます。

ライヴの前、新谷さんはブログにこう記していました。

  " 最高級のローズウッドと共鳴管を使って、奏でます "

お寺の中の音響は独特で、ナチュラルなエコーもほぼ皆無なデッド感。
それは客側には聴きやすい音で出ていましたが、演っているほうはどうだったんだろう?
何にせよ、ここでしか聴けない最高級の音のひとつだったことは確かです。
雨音や鳥の鳴き声など、自然音の演出が効いていたことも特筆すべき点でした。

いつものライヴでは感じられない時間を過ごすことが出来ました。
行ってよかったなぁ。

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それにしても、オリジナル曲は一度もライヴでは同じアレンジで聴いたことがありません。
しかし、よい意味で裏切ってくれることが多いので、毎回の楽しみでもあります。
今回も「風よはこべ」でのそれが顕著で、かっこよかったな。
一度は、これまでの既発曲のベスト的な選曲でのライヴを聴いてみたいな。

新谷祥子マリンバ弾き歌い 3rd Album 発売記念ライブ ~Marimba Theater 2014~ キッド・アイラック・アート・ホール 2014.11.5

8月にリリースされた3rdアルバムのレコ発ライヴに選ばれた会場は、
昨年、彼女が寺山修司の没後30年トリビュート・ライヴを行った、
明大前のキッド・アイラック・アート・ホールでした。

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3rdアルバムのタイトルは『Marimba Theater』
これは昨年のライヴで初めて掲げられたコンセプトとも言えるタイトルです。
今後はこのタイトルを掲げ、色々なテーマでライヴを行っていくのだろうと思っていましたが、
早速、そのタイトルを冠したアルバムのレコ発ライヴで、それは実現しました。

レコ発であるからして、当然アルバム収録曲が中心になる…はずですが、
決してそうとも言えない構成になるのが新谷祥子らしいところです。
過去にも1stアルバム発売記念ライヴを体験しましたが、
その時も同じく、よい意味で全然レコ発じゃないなぁというライヴでした。

キーワードは " 今 "です 。
この日も " 今 " の新谷祥子…新谷祥子の " 今 " を聴かせてくれました。
実際にMCで " 今を聴いてほしくて " と言っていましたし、
その通り、彼女の " 今 " を強烈に感じさせてくれる2時間でした。

彼女の言うこの " 今 " というのは、たとえば今年とか最近とか、
ある程度の期間を指したり感じさせたりという " 今 " ではなく、
新谷さんの場合、本当にその時、その瞬間、現在なのです。
まさに " 今 " を感じさせてくれるのです。
私は今、本当に歌を歌いたい、曲を作りたいと思っています…というMCが、
とても印象的だったのが、それを象徴しています。

あらためて考えてみれば、3rdアルバムに収録された「バイバイ オータム」、
そして「ノヴェンバー トラヴァイル」は以前からのレパートリーです。
でも、彼女の場合は決して過去の曲が引っ張り出されてきたという風にはならず、
今の曲として存在するのです。
これは新しい曲と言う意味ではありません。
言葉本来の意味での、今の曲なのです。
おそらく、新谷さん自身が、自分の今を表現しているからこそ、
そう聴こえ、そういう曲になっているのでしょう。

「青と白の未来」と「女友達」という新曲も披露されました。
特に前者はお気に入りの曲になりそうです。
そして聴きものだったのが1stアルバムからの「土」。
Xylosynthをプレイしての緊張感溢れる演奏は素晴らしかったです。

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ところで、新谷さんのライヴと言えばカヴァー曲も楽しみのひとつ。
この日も久保田早紀の「異邦人」という直球カヴァーがよかったのですが、
個人的には「The Rose」と「死んだ男の残したものは」には驚きました。
その理由は、つい先日、浜田真理子の歌うこの2曲を聴いたばかりだったからです。
新谷さんと真理子さんが同時期のライヴで同じ曲を取り上げることは以前もありました。
それは「竹田の子守唄」で、この1曲が重なっただけでも驚いたのですが、今回は2曲です。
何かがあるとしか思えないのですが、まぁ自然に任せておくことにしましょう。

新谷さんのライヴ自体、数多いわけではありませんが、
毎回とても貴重な時間を過ごさせてもらっています。
必ず何かを残してもらえますし、何かを期待させてもくれます。
次の何かを今から楽しみに待っていたいと思っています。

Marimba Theater / 新谷祥子 -2014-

音楽スタジオではない場所での一発録音と言う3rdアルバム。
どんな音に仕上がっているのかが楽しみでしたが、その感触は…。

著者 :
ARAYA Records
発売日 : 2014-08-15

新谷祥子そのものでした。

これまでのライヴやレコーディングから、
マリンバ弾き語りという自身のスタイルをモノにし、
思い通りに表現できるところまで達しているように思います。
もはやレコーディングの場所・環境に関わらず独自の音を出せるのではないでしょうか。

ただし、あくまでもこれは音を聴いた感触のみの印象です。
音の色あいは、やはり2014年の最新型・新谷祥子となっています。

1stアルバムではベーシスト吉野弘志
2ndアルバムではギタリスト仲井戸麗市をゲストに迎えていました。
特に2ndアルバムはギターに加え、自身でも様々な楽器を使い、
バラエティにとんだ分厚い音を聴かせてくれました。
しかし、今回は実にシンプル。
その理由は、迎えられたゲストがヴィブラフォン(山本祐介)ということもあるでしょう。
しかし、シンプルな分、楽器同士の調和する美しさは格別です。
マリンバの音にヴィブラフォンが重なる心地良さ。
かつ、その音が喚起させてくれるものは絵であり画であり映像でもあります。
まさにアルバムのタイトル『マリンバシアター』そのものです。

個人的なベストは「なまえのない子守唄」。
マリンバのフレーズ、歌のメロディなど、
聴きやすくPOPなのに緊張感が溢れるという新谷さん独特のもの。
大好きな世界です。

アルバムのクレジットによれば、レコーディングは5月。
新谷さん自身が撮影した故郷の雪景色の写真。
冒頭を飾る曲は「バイバイ オータム」。
リリースは真夏。
このように見事に四季が詰まった作品ですが、
あり得ない五つ目の季節を感じさせてくれる作品でもあります。

マリンバを聴く、曲を聴く、歌を聴く。
そして新谷祥子を聴く。
そんなアルバムです。

新谷祥子 Marimba Theater 2013 Echo From North 寺山修司没後30年トリビュート 明大前キッド・アイラック・アート・ホール 2013.9.17

Marimba Theaterと題され、
テーマはEcho From North。
そして寺山修司没後30年トリビュート。
ゲストにヴィブラフォンの山本祐介を迎え、
会場は明大前のキッド・アイラック・アート・ホール。
この事前情報だけで勝手にイメージがぶわーっと広がった。

新谷さんは青森出身。
彼女が寺山修司について書いた言葉をいくつか拾ってみる。


 生い立ちと作品という部分で、
 どこか全然違うところにいる人というふうに感じない

 作品の成り立ちを見ていても、これは以前、
 現実的にどこかで感じた風景、のように錯覚する

 作詞が寺山修司となっている「歌」の魅力
 どうして楽曲になっている歌詞だけがこうも優しく、
 どぎつい感じがしないのか


こんな彼女が故郷、そして寺山修司没後30年トリビュートの選曲で行うライヴだ。
とても楽しみにしていた。

ライヴは二部構成。
第一部は寺山修司の短いポエムを読み、演奏する。
その繰り返し。
オリジナル曲が中心のメニューだったが、
寺山修司のポエムに無理矢理こじつけたといって歌ったそれは、

" 全然違うところにいる人というふうに感じない "
" 作品の成り立ちを見ていても、これは以前、
 現実的にどこかで感じた風景、のように錯覚する "

新谷さん自身が言う、まさにこれだった。

特に『田園に死す』にだぶらせた「冬の線路」。
新谷祥子が見て歌う線路は、寺山修司も見た線路なのだろう。
個人的に好きな曲ということもあるけれど、
曲が聴こえるだけでなく、絵が見える。
風景が浮かぶ。風とにおいを感じる。
この曲はMarimba Theaterに相応しい演奏だったと思う。

第二部は、寺山作詞の名曲が中心に披露される。
いきなり浅川マキの「ふしあわせという名の猫」。
思い切り暗い歌詞だけれど、
オリジナルはマキさんの歌がそれを感じさせない、
何だか不思議な曲だなぁと常々思っている。
そんな強烈なオリジナルを、マリンバとヴィブラフォンによる、
洗練(と、あえて表現)されたアレンジで聴かせてくれた。

カルメン・マキの「時には母のない子のように」は、
確か以前もライヴで歌ってくれたと思うが、
この日は本編とアンコールで二度、しかも別アレンジで演奏。
寺山の作詞はもちろんだが、作曲が田中未知ということでも、
おそらく新谷さんの思い入れは強い曲なのだろう。

テーマからして重めな内容を想像していたが、まったくそんなことはなく、
新谷さんの人柄が前面に出て、独特な寺山ワールドになっていたと思う。
二部ではゲストの山本さんのソロ・コーナーがあり、
そこでは「あしたのジョー」をヴィブラフォンのインストで演奏するという、
オマケ的だけど聴きごたえがあるコーナーもあった。
こんなことからも、振り返ってみれば、とても楽しめたライヴだった。

Marimba Theaterと題し、劇場で行う…ことになっていくのだろうライヴ。
今後はどんなテーマで行われるのか、今から楽しみだ。

※Echo From North

金子飛鳥 LIVE 9月 with 新谷祥子 フクモリ 2013.9.5

会場のフクモリは馬喰町にあるカフェ兼定食屋。
ということで、ライヴには食事がつく。
美味しかったです。

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ライヴ前の食事は楽しめたし、
二人の共演を観るのは今回で3度目なのでリラックスしていたつもりだが、
照明もないし演出もないし、それこそお客さんもその場ではむき出しになるというか、
何も隠せるものなどないといったいつものライヴとは雰囲気が違うので、
始まる寸前は、何だか緊張していた。

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ステージ…というかお店の角に楽器(マリンバ)がセッティングしてあるだけ。
あとはヴォーカル用の簡単なPAシステム…というかスピーカーがあるだけ。
シンプルという言葉以上にシンプル。
楽器は生音だった。

飛鳥さんが「普段はここで演るときはマイクを使わない」と言っていたが、
マリンバの生音には、やはり生の声はどうしても負けてしまうので、
今回はマイクを使うことにしたそうだ。
まぁ、ヴァイオリンとマリンバのインストなら問題はないのである。
しかし、彼女たちは歌うのである。
それもバッチリと歌モノを演るのである。
だからもちろん、マイク使用は大正解だったと思う。

以前もここに書いたけど、
僕の友人がマリンバの弾き語りというスタイルを理解できなかったように、
ファン以外にはなかなか想像ができないのが、新谷祥子の音楽スタイルだろう。
何度そのライヴを観ても独自の世界だと思うし、
その世界に慣れるまで、人によっては時間がかかると思う。
僕も初めはそうだった。
しかし慣れてしまうと、ハマッてしまうと抜けられないのがマリンバ弾き語りなのだ。

一方の金子飛鳥。
そのヴァイオリンの素晴らしさは言うまでもないだろうけれど、
彼女も弾き語りとは表現していないが、歌うのである。
しかも、そのヴォーカルは本格的に素晴らしいから困る(←褒め言葉だ)。
こんな二人の音楽を、この日もバッチリと堪能させてもらった。
セットリストは、過去のレパートリー+αといったメニューだった。
※「ラテン・ドレス」という新谷さんの新曲が披露された!

ところで、聴きなれていた曲が多かったことであらためて気づかされたことがある。
それは、3回目にしてやっと二人の音を冷静に掴めたなぁ…ということだった。
これまでも自分なりに接していたつもりだったけれど、
やはり音を追うのが精一杯で、圧倒されていたのだと思う。
それがバラードであっても、誰もが知る有名曲であっても、
必ずそこに前衛的な色が出るし、だからこそ気を抜いて聴くことができない。
きっと無意識に強く集中してしまうのだろう。

アンコールで演奏されたOZの「空へ」は、僕は大好きな曲で、
春日博文のギターを含め、あの曲にはあのアレンジしかないと思っていた。
しかし、金子飛鳥と新谷祥子による「空へ」は、
マリンバとヴァイオリンによるハードロック・ブルースなのである。
こんな風にしか書けないのだが、そんな音なのである。
カッコイイよ。

約1時間半のライヴだったが、聴きごたえはじゅうぶん。
素敵な時間を過ごすことができました。

P.S.
ライヴ以外でも二人の共演を聴いてみたいな。
MCで触れられていたように、まだ先のようだけれど、
それでも準備が進んでいるという新谷祥子の新作では、
きっと金子飛鳥のヴァイオリンが聴けることだろう。今から楽しみ!

新谷祥子×金子飛鳥 デュエット ~マリンバとヴァイオリン、声と声。打ち弾き歌う #2~ 南青山MANDALA 2013.4.18

新谷祥子と金子飛鳥の共演は2回目。
前回のライヴは、その初めて観て聴く世界を、
なかなかうまく言葉や文章にできなかった。
ただ音楽を感じたということしか記すことができずに、
何とももどかしい想いが残った。
今回は僕自身も2回目ということで、
ハッキリとした何かを感じられるだろうと思って臨んだが…。

いやいや、またまた二人の世界を前に言葉や文章を綴ることができないでいる。

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どんなタイプの曲も気を抜いて聴くことができない…と言っても、
決して緊張感が溢れてということでもない。
いや、きっと、絶対、確実に二人のあいだに緊張感はあるのだ。
でも、ステージ上でのそれは客側には(少なくとも僕には)見えないのである。

そうは言っても(よい意味で)リラックスして聴ける音ではないし、
しかも相変わらず視覚的にもカッコイイ二人なので、
耳だけでなく目でも追うことになり、
休憩が挟まれた二部構成のライヴ終了後は、かなりグッタリとなった。

ただ、このグッタリというのは、気疲れのそれではないと思うのだ。
今まで刺激されたことがない部分が押されることによる、心の疲労なのだろう。
だからライヴ後は気持ちがよいのである。
心地よいのである。

即興的でいて、
実は二人の音がビシバシ決まるアレンジも素晴らしい。
そしてこれまた前回も感じたことだけれど、
ヴァイオリンとマリンバと同じ比重で声…ヴォイスが残る。
決して通して歌が中心になっているわけではないのだけれど、
だからこそ二人の声が印象的だ。
あれは単なる歌声というだけではないような気がするよ。

まったく新しいヴァージョンになった新谷祥子の「黄昏ピーコック」。
二人のリアレンジ・ヴァージョンをいつかCDにしたいと言っていた金子飛鳥の「Still」。
シンディ・ローパー(!)の「タイム・アフター・タイム」。
本編最後に演奏されたファジル・サイという人の2曲のバラード。
アンコールでのラスト・ナンバー、カルメン・マキ&OZの「空へ」。
オリジナルもカヴァーもすべてよかったけれど、特に印象に残ったのがこれらの曲だ。
このめちゃくちゃな選曲(笑)もまた、彼女たちの特徴なのだろう。

言葉や文章にできないと言いながらもここまで書いてみた。

新谷祥子と金子飛鳥の二人による音楽は、
僕が聴いたことがなかった音楽であり、
僕が新しく知った音楽でもある。
素晴らしい。


★金子飛鳥さんが自身のサイトでこのエントリーを紹介してくださいました。
・4/18 Duo with 新谷祥子@Aoyama Mandara
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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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