八月のフロッタージュ おおたか静流 meets 浜田真理子 鎌倉女子大学二階堂学舎 松本尚記念ホール 2017.9.9

今年の2月に体験したプログラムの再演。
前回は下北沢の教会だったが、今回は何とも雰囲気のある大学のホール。
こうした会場と八月のフロッタージュというタイトル。
そして歌われる曲から伝わるメッセージと相まって、
普通のライヴとは違う独特の時間を過ごせる公演になっていると思う。

核となるセットリストに変化は無かったし、
あいまに挟まれるメールでの書簡も同じだったと思うが、
今回はおおたか静流は「東北」を、そして浜田真理子は「はためいて」をと、
僕が観た下北沢公演のリストに2曲がプラスされていた。

フロッタージュという意味の " 擦りとる " 対象は「八月」。
歌われるいくつかの反戦歌。
更にメロディがつけられ歌われた茨木のり子、竹内浩三のそれぞれの詩。
前回も感じたことだが、ここから記号的に企画意図をくみ取るのは可能だし、
おそらく企画意図もそういうことなのだと想像する。
しかし、音楽というものは人の数だけの思いや想いがあるもので、
聴いて触れて湧き上がってくるのは限定されたものでは決してない。

例えば「悲しくてやりきれない」。
映画『この世界の片隅に』で取り上げられたこともあり、
今ではその線で聴くこともできるだろうし、この日のテーマにも合うことだろう。
しかし、おおたかさんが歌うこの曲を聴きながら、
僕は作者である加藤和彦さんがいないということが浮かんで切なくなり、心を動かされた。
しかし、これこそが僕にとっての音楽の魅力である。

実際、二人の歌から受ける印象は今回も自由であったと思う。
だから、歌われた曲たちはすべてあの場にいた人の数だけ受け取られ方があったはずだ。
僕が音楽を好きで良かったと思うことのひとつは、
こうした場にいられ、そんなことを感じられるときだ。

それにしても久しぶりに聴いた「はためいて」の白眉。
そのメロディの美しさを含めたこの曲の魅力はライヴ…ナマである。
空気を震わせた声と音をその場で聴いて触れて感じてこそ…である。
レコードやCDでは絶対に味わえない。
ステージ後方から眺められる木々の緑が風に揺れている風景は、
まるで「はためいて」が映像化されたものをその場で見せられているようで素敵だった。

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コンサートの後、夏の終わりの鎌倉を少し歩いた。
だんだんと暮れていく空を見あげながら、「みんな夢の中」のメロディが遠くで鳴った。

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※八月のフロッタージュ おおたか静流 meets 浜田真理子 下北沢日本基督教団東京都民教会 2017.2.25
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浜田真理子 『代官山 晴れたら空に豆まいて 11周年記念』 ハマダと夜と音楽と 2017.8.4

ここ晴れ豆での前回は昨年の10月。
そして2014年に初めて出演してから今回で6回目。
よって真理子さんのMCにもあったように溢れるホーム感。
さらに、歌われる曲もここでは広範囲に選曲されているように感じる。
念のため過去に観たライヴを振り返ってみたけれど、
こうした選曲の印象は間違いではなかった。

晴れたら空に豆まいて…で聴けるのは " This is the ハマダマリコ " 。
彼女本来の魅力がナチュラルかつ存分に体験できるのは、
もしかしたら今は晴れ豆なのかもしれない。

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ということで安心して楽しめる空間になっていると思うけれど、
僕自身がここでのライヴを体験してきて感じる変化もある。
演奏中にそれを感じることは無いのだが、
ひとたびライヴが終了すると、一気にそれは現れる(気がする)。

客席の熱気だ。

終演後の晴れ豆は熱い。
今夜のライヴは良かった…のような単純なそれではない。
変な表現だが、都会のラッシュ時の地下鉄駅構内のような熱気なのである。
こうした感覚は、晴れ豆でのライヴを重ねるたびに大きくなっている。
真理子さんの音楽には似合わない雰囲気ではあるけれど、僕には心地よい。
だって、これだけの熱を生み出す演奏と歌であるからだ。
僕にとっては正しいことなのである。

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『TOWN GIRL BLUE』色が薄いメニュー。
この日はバンドではなくソロではあったが、これは意外だった。
しかし、そのおかげで弾き語りの魅力をあらためて堪能。
新作のスタイルを期待していながらも、結局ファンは現金なものなのである。
ただ、歌われたのが既発曲であっても、すべてが2017年のハマダマリコになっていた。
弾き語りという彼女本来のスタイルも、新作前と後で明らかに違っているようだ。

以前より抑えられたテンポ。
良い意味で自由に付けられていた独特の間が減った(ように感じる)こと。
久保田真琴さんによる音響。
こうしたことが要因だと思うのだが、
何と言ってもその上に乗るヴォーカルである。
明らかに強く、太く、大きく、
小さなライヴハウスではおさまりきらない圧倒的な声。
しかしそれは数字的な大きさではなく、あくまでも " うた " が持つ力。
『TOWN GIRL BLUE』発表以降は、
ステージを重ねるたびにヴォーカルが更新されているというのが実感だ。

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自分にとっての好きな音楽が必要な音楽になっていること。
そしてその音楽と歌とピアノを同時代にその場で体験できているということ。
幸せな事である。

浜田真理子 TOWN GIRL BLUE at Motion Blue YOKOHAMA 2017.6.30

あの、素晴らしかったレコ発ビルボードライブ東京公演
今回はこのときのメンバーからパーカッションを除いた構成だったので、
事前に感じていた「変わるであろう音の変化」に対しての僕の思いはあったが、
そんなものはまったくの杞憂だった。

目の前には、まるでずっと活動を続けてきているようなピアノ・トリオがいた。
アコーディオンとベースがヴォーカルを引き立てるのはもちろん、
それぞれのソロも存分に聴かせてくれる。
Motin Blue YOKOHAMAの雰囲気に似合い、演奏にも余裕すら感じさせてくれたこのバンド。
その中心にいるのが浜田真理子という事実が感動的だった。

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これまでのライヴではなかなかお目にかかれない真理子さんの曲前カウントや、
ベースの加瀬さんとのアイコンタクトで演奏をコントロールしていくシーンなど、
まさに今の浜田真理子でしか観ることのできないライヴだ。
そして、これこそがTown Girl Blueなのだろう、きっと。

ビルボード公演には無かった「骨董屋」や「ミシン」など代表曲も弾き語りで披露された。
トリオ編成との違いがくっきりし、ライヴの構成としてはバッチリだったが、
個人的には過去の曲はすべてTown Girl Blue編成で聴いてみたかったなぁ。
実際に「のこされし者のうた」や「純愛」などは間奏にアコーディオンのソロが入ることで、
真理子さんのヴォーカルはそのままに別の表情を見せてくれた。
決して激しい演奏ではないけれどスリリングな瞬間があり、聴きごたえ抜群だった。

アンコールでは横浜ということでご当地ソングを披露。
「ブルーライトヨコハマ」と「横浜ホンキートンクブルース」。
実は過去の横浜公演で僕はこの2曲を聴いているのだが、
今回は弾き語りではなく新作色に染められているわけで、
もちろん初めて聴くのと変わらなく触れることが出来た。
前者のヴォーカルの色っぽさと、後者でのくだけたブルースは最高!
見事に横浜の夜を締めくくった演奏だったと思う。

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途中で知ったが、この夜も音響を久保田真琴さんが担当していた。
こうしたことからも、発表後の『Town Girl Blue』は、
ひとつのチームで転がされていることがわかる。
僕は運よくこの音を東京と横浜で直に体験することが出来たが、
日本全国の浜田真理子ファンにも届けられないものか。
一人でも多くの人にTown Girl Blueな浜田真理子を聴いてもらいたい。

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浜田真理子 TOWN GIRL BLUE Special guest:あがた森魚 Billboard Live Tokyo 2017.4.13

待ちに待った『Town Girl Blue』レコ発ライヴ。
1stと2ndの両ステージを観た。

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1stステージの…というか、レコ発ライヴの幕開けは「教訓Ⅰ」。
歌った後に " この曲から始めたかった " とのMCがあった。
シングルのカップリングとしても発表されている初期からのレパートリーであり、
ここ最近のライヴでも定番曲だが、オープニングになった理由は説明不要だろう。
Live…ライヴはその名の通り生きているということをあらためて感じた瞬間だった。
※加川良さんのこと

1stと2ndを通して披露された『Town Girl Blue』は収録の11曲中10曲。
2曲のインストのうち「Chat Noir」がセット・リストから外れていたが、
2ステージを通して、ほぼ新作の全曲を披露してくれた。
既発曲では「のこされし者のうた」と「純愛」が1st、
そして「聖歌~はじまりの日~」が2ndで歌われたが、
特に1stの2曲は見事にTown Grl Blueしていた。

今回はバンドとの演奏が多いから、当然これまでのライヴと色合いは異なる。
例えばこれを " 新鮮 " と表現するのは簡単だろうが、
今の浜田真理子の音楽は『Town Girl Blue』である。
新鮮なのではなく、このライヴこそが浜田真理子なのだ。
だから「のこされし者のうた」と「純愛」は、あのアレンジだったのである。

生で聴く『Town Girl Blue』は格別だった。
ミュージシャンのフィーリングで放たれた音が、観客のフィーリングで受け取られる。
そこにBillboard Live Tokyoという会場の雰囲気が加わり、
まさにライヴ…生きている音が聴こえ、さらに見えるようだった。
浜田真理子のライヴで体験する初めての感覚。
快感。

「教訓Ⅰ」でライヴを始め、
新作収録曲をバンドで存分に生き生きと披露し、
過去の代表曲もカヴァー曲もTown Grl Blue色に染め、
強烈に今の浜田真理子を印象付けてくれた。
更にあがた森魚さんの参加がスペシャル感を添える。
「赤色エレジー」では " まさか一緒に歌える日が来るとは " と話していたが、
ここから感じることができる " これまで " は、
やはりこの夜は、目の前では " 今 " となるのだ。
視覚的にというだけではなく、セッションさえも新作色に染められているので、
もちろん音楽的にも " 今 " なのである。

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こうして " これまで~今 " を感じさせてくれた『Town Girl Blue』のレコ発ライヴだが、
彼女の素晴らしいところは " これから " をも感じさせてくれたことだ。
2ndステージのラスト…ということはライヴのラストでもあるが、
歌われたのは「聖歌~はじまりの日~」だった。

  わたしはうたう
  うたいつづける
  終わらない日まで

この力強い宣言を、王道であるピアノの弾き語りのスタイルで歌うのである。
今夜ははじまりの日だという彼女の意志。
これで感動しないわけがない。

彼女が言った " 幸せな夜でした " は、そのまま僕にとってのそれでもあった。

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浜田真理子入門4「真理子の部屋~上級編」 うどん屋の2階 2017.3.26

うどん屋の2階でのライヴも4回目ともなれば、観る側も慣れてきたものだが、
それでも通常のライヴハウスやホールではないのは変わらないので、
ここでしか味わえない独特な雰囲気は毎回のことになる。
さらに、どんな会場であっても浜田真理子はいつものステージを演る。
ということは、時期的には新譜『Town Girl Blue』発表後。
その収録曲をあの会場で聴くことができるわけだ。
期待でいっぱいになるのは当然であった。

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いきなり「彼方へ」「You don't know me」と、新作から冒頭の2曲が歌われる。
これだけで気分があがる。
この日の楽器はピアノだけだ。
でも、既に僕のアタマとココロには新作の音がバッチリと詰め込まれているので、
目の前で鳴っている音とアタマとココロで鳴る音が重なる分厚い感覚にクラクラする。
結局、新作からは7曲が取り上げられていた。
アルバム収録前から歌われていた曲は、作品化されたことで印象が変わったが、
この会場での弾き語りにより、その印象がまた違った表情で聴こえて最高だった。
特にひとりピアノでプレイされたインスト「Chat Noir」の渋さったらカッコイイの一言。
弾き語りでこれだけの世界を作るのだ。
もう今からレコ発ライヴ、ビルボード公演が楽しみで仕方がない。

早速、おおたか静流との共演『八月のフロッタージュ』の影響もあった。
さりげなく挟まれた「戦争は知らない」。
初めて歌ったという事だが、反戦歌とはいえ特に重くならず、
今のハマダマリコ色に染められていて、名曲として心地よく響いた。
こうしたニュートラルに反戦歌を取り上げる姿勢が彼女らしいと思う。

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彼女のソロパートはこの日の構成としては第二部。
一部は胡池マキコさんのソロで、三部は和やかな雰囲気のセッション。
二部と三部の振り幅こそが浜田真理子のライヴと言えるが、
それでも、もう一度、書く。
『Town Girl Blue』色だけに染められるであろう、
そして新たな彼女の音楽になるであろう、レコ発ライヴ。
どんな世界をみせて聴かせてくれるのか、期待したいと思う。

八月のフロッタージュ おおたか静流 meets 浜田真理子 下北沢日本基督教団東京都民教会 2017.2.25

ステージ上、正面には2本のスタンドマイク。
向かって左にはピアノ。
おおたか静流と浜田真理子。
お互いのソロ・パートがあって、そしてセッションがあって…。
これまでのこうした類のライヴに対して持っていたいつものこんな気持ちは、
おおたか静流と浜田真理子がステージに立った時点で崩壊した。

おおたか静流はわかる。
しかし、浜田真理子までがスタンドマイクの前に立ったからだ。

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『八月のフロッタージュ』と題された今回の企画。
サブ・タイトルの「女の交換日誌」と、
フライヤーにある “ 歌と言葉で綴れ織るふたりの女の触れあい物語 “ 。
まさにこのとおりであり、
舞台演出をバッチリ決めたホールでの再演を観たいくらいのプログラムだった。

この日に向けた日々の、お互いのメールのやり取りが朗読される。
企画発案の初期から本番に向けての双方の気持ちや思いのキャッチボール。
そこにはいい意味で緊張感はなく、ヘヴィさも感じられない。
もちろん実際には煮詰まりや苦しみもあったのだろうけれど。
朗読と歌が交互に登場するが、どちらかが主役ではなく、どちらも主役であった。

擦りとるという意味の絵画の一方法をフロッタージュと言うらしい。
この日に擦りとられる対象は「八月」。
ふたりによって歌われる曲にはいくつかの反戦歌。
更に茨木のり子、竹内浩三、それぞれの詩にメロディがつけられ歌われた。
これらから記号的に企画意図をくみ取るのは可能だ。
しかし、公演中は特別に限定された内容を感じることはなく、
ふたりの歌に酔い、書簡の朗読に引き込まれた充実の時間だった。

二人は明確に企画の意図を決めて観客に伝えたい、
伝えなければならないと思っていたのではなく、
あの場にいた人の数だけの受け取りよう、
伝わりようがあるのを知っていたのだろう、きっと。

  「八月」とは孤立した七月の翌日とか特定の時間ではなくて、
  春夏秋冬を生きる日々の記号のこと。
  それゆえに歴然と、私たちに「八月」があり「夏」がある。

前述したフライヤーにこう記されていたことも僕がそう感じた理由である。
おおたか静流と浜田真理子のふたりも、それぞれの八月を擦りとったはずだ。

それにしても、竹内浩三の詩にメロディを付けた曲。
どう聴いても浜田真理子だった。
ワルツだったこともそれを強力に印象付けた。
今後もレパートリーとしていけるのではないだろうか。

そして何よりも素晴らしいと思ったのは、ふたりの歌と声の力だ。
いわゆる良い音楽を良い音楽として提示してくれるからこそ、
そこから僕たちは様々なものを受け取ることができるのである。

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おおたか静流はメールの中で「教訓Ⅰ」を沁みるといっていた。
浜田真理子は「悲しくてやりきれない」に祈りを感じて涙したという。
この2曲を共有できたことに、僕は幸せを感じる。

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文春トークライブ第12回 浜田真理子「昭和」をうたう。 紀尾井ホール 2016.12.20

会場の紀尾井ホールはクラシック音楽専用ということだし、
開演中も客電はほぼ点いたままだし、
歌と演奏の合間には佐藤剛さんのMCで解説が入るしと、
通常のコンサートとは趣が違う構成。
さらに浜田真理子のファンとしては、事前配布のパンフを見たら、
そこで歌われるのはライヴではお馴染みの曲だったことに加え、
マイラストソングで取り上げられていたものも多くあったわけで、
文字だけで予想すれば良くも悪くも新鮮味が薄れてしまうように感じられた。
はたして…。

一曲目の「みんな夢の中」が歌われた瞬間、
まるで初めて聴いた曲のような声と音とメロディがあった。
同じく、これまで何度も聴いている「街の灯り」や「一本の鉛筆」も新曲のように響く。
新鮮味が薄れるどころか真逆。惚れぼれする。
そりゃそうだ。
歌っているのは浜田真理子なのだから。

浜田真理子の歌を形容する、たとえば " 美しい " のような言葉や単語はすべて僕にはもどかしい。
当てはまらないからということでは決してない。
僕にはそれらを超える他の言葉があるとしか思えず、しかしそんな言葉は無いからである。

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オフィシャルのインフォから引用。

  忘れ得ぬ昭和のスタンダード・ソング、知られざる名曲、
  懐かしの哀歌(エレジー)をしみじみと、哀切に歌い上げます

佐藤剛さんのMCでは専門的知識を必要とする解説もあったけれど、
中心にあったのは昭和の名曲を現代に蘇らせて伝え、
後世に正しく残していきたいという、実にシンプルなものだったと想像する。
そのためには昭和のうたの素晴らしさを、素晴らしいまま、
素晴らしい曲としてうたえる歌手…浜田真理子しかいないということだろう。
異論は微塵もない。

冒頭に書いた通り、通常のコンサートの雰囲気ではなかったが、
常に中心にあったのは " うた " だった。
そこには歌詞とメロディと音と声、
そして聴いているお客さんの数だけの " うた " 、
時代も世代も超えた昭和の " うた " が主役だった。

歌の力。
そして、歌う力。
これに尽きる。
浜田真理子は凄い。


P.S.
カヴァーの中で唯一歌われたオリジナル曲は「のこされし者のうた」。
過去に何度もこの曲で泣かされてきたが、
この夜はこれまでとは違う個人的な想いを抱いて聴いてしまい、
途中で落涙した。泣ける浜田真理子を久々に堪能。

それにしても今夜、初めて浜田真理子を聴いた人は、
昭和をうたうというテーマも楽しめたと思うけれど、
この唯一のオリジナルである「のこされし者のうた」は強烈だっただろう。
この一曲に心を奪われ、持って行かれちゃった人も少なくなかったんじゃないかと思う。

浜田真理子 『代官山 晴れたら空に豆まいて 10周年記念』 ハマダと夜と音楽と 2016.10.28

開演前のステージにはいつものようにピアノが一台。
しかし、何かが違う…と思ったら、その理由はセットされていたマイクだった。
久保田真琴さん所有というそれの詳細は不明だが、
ちょっと調べてみたところ、もしかしたらドイツのノイマン製のマイク?
真理子さんのMCによるとヴィンテージもの…もしくは現行版だろう。
とにかくルックスからして最高で、ステージ上のそこだけが、
何だかレコーディング・スタジオに見えたりもしてしまった。

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そのマイクで歌う姿に慣れない違和感を感じたが、
それはライヴが始まってから数十秒のあいだだけのことで、
以前から使用しているかのように真理子さんに馴染んでいた。
さらに言えば、" うたう " ということがこれだけ似合う人もいないと感じているので、
その意味ではこのマイクでうたう姿はかっこ良かった。

何度もライヴで取り上げられてきた浅川マキの「ブルー・スピリット・ブルース」。
前半はタメを効かせ中盤からは流すなど、そのピアノが饒舌で最高だった。
オリジナルではないそうだが、とても真理子さんらしい「何もないラヴ・ソング」。
♪なにもない というリフレインが素敵で、この日の曲で最も印象的だったかも。
僕が初めて手にした浜田真理子のアルバムが『夜も昼も』。
その収録曲すべてに思い入れがあるので、久しぶりに聴けた「旅路」も嬉しかった。
この辺のオリジナル曲をもっとライヴで歌ってほしいものだ。

さて、彼女のライヴの特徴と魅力のひとつは、
その歌の世界とMCの落差から生まれる独特の雰囲気だと思う。
笑わせるMCの比重も高く…というか、MCはその路線のほうが多いほどだが、
ひとたび彼女が歌えば、その世界に引き込まれる強力な吸引力が、
曲にも歌詞にも、そしてそれを表現する歌にもある。
そこに生まれるお客さんの数だけの想いが作り上げる空気。
これこそがハマダマリコのライヴであり、僕が惹かれる点でもある。

しかし、今回はこうした面はほとんど無かったような気がする。
そこにあったのは、単に歌い、楽しむという雰囲気。
例えば、「ミシン」でさえ、演奏中に合いの手を入れられそうだったといえば、
それがわかってもらえるだろうか。

東京でのワンマン。
時期的なことを考えれば近いうちに発表される新作アルバムのインフォメーションも兼ね、
新曲を中心にした構成が定石だろう。
しかしそれ的な色もほとんどなく、歌いたい歌を、歌いたいように歌っている印象だった。
これは当たり前のようだが、実はあまり体験できない。
どんなライヴにも必ず何かしらのテーマから考えられた構成があるだろうから、
本能に近いナチュラルな気持ちのまま歌うだけをお客さんに提示することは、
まず、あり得ないに近いだろう。

さらに言えば、そのライヴが独り善がりや自己満足にならず、
お客さんに観て聴かせ、色々な意味で参加させることにも成功していた。
どんなライヴにもある…いや、無ければならないステージと客席の間にある敷居。
それが低かった。
無かったと言ってもいいほど、低かった。
彼女の人柄のおかげと言ってしまえば簡単だが、意識してのことだったのかもしれない。

これだけ開放的な浜田真理子のライヴ。
新たな面を見た気がする。

浜田真理子・畠山美由紀 コンサート ~Early Autumn~ 島根県民会館 2016.9.4

例年よりも早い時期の松江コンサート。
Early Autumnと題されていても、まだまだ暑い。
ただ、水の都に吹く風は少しだけ秋の気配を感じる。
心配された台風も大きな影響はなかった。
この季節に訪れたのは初めてだったが、
結果として、ライヴ共々青空ものぞいた松江を楽しむことができた。

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今回は畠山美由紀さんとの共演。
しかし、既に二人のセッションは渋谷クアトロで体験済みだったので、
僕の関心はただひとつだけ。
それは浜田真理子、新作のレコーディングを終えた直後のステージという点だ。

ライヴの構成は、第一部が浜田真理子と斎藤潔(b)。
第二部が畠山美由紀と小池龍平(g)。
そしてアンコールは4人のセッションだった。

いきなり、真理子さんの新曲からスタート。
後から発表されたセット・リストから「彼方へ」というタイトルと知った。
見ようとすれば景色が 語ろうとすれば言葉が邪魔になる…という歌詞が印象的。
この独特の世界観を持つフレーズから僕が連想したのは、
あなたには顔がない わたしには声がないと歌われる「森へ行きましょう」だった。
ただ、「森へ行きましょう」はその歌詞に見合った曲調とメロディであり、
聴いた人がどこか知らないところへ連れて行かれそうな曲だった。
しかし「彼方へ」は違う。例えば既発曲で言えば、
「はためいて」や「遠い場所から」のように透き通った美しさを感じさせてくれる曲だ。
一聴すれば心地よいが、だからこそ引っかかる言葉があると後から迫ってくる。
間違いなく新作には入るだろう。作品化されたものを早く聴いてみたい。
2曲目に披露されたのはインストだったが、これもMCによると収録されるようだ。
ハマダマリコ的テイストをじゅうぶん味わえるであろうピアノとアレンジが楽しみだ。

さて、新作を匂わせてくれたのはここまで。
もちろん他にも作品化されていない曲が歌われたし、その中には新作に入る曲もあるだろう。
でも、それらを僕はライヴで何度か聴いていたこともあったから、
この日の個人的期待からはどうしても外れてしまっていた。
ただ、これまでライヴで披露されてきた新曲たちをCDとして聴きたい希望はある。
いや、あり過ぎる。あれが聴きたい、これも聴きたいとキリが無い。
とにかく新作が待ち遠しい。

畠山さんのパートは、クアトロでも思ったが、
小池さんの素晴らしいギターとコーラスのサポートが効いていた。
ホールということもあり特にギターの響きが美しく、ヴォーカルとの相性もバッチリ。
締めくくりで歌われた「わが美しき故郷よ」と「歌で逢いましょう」が沁みた。

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この二人のセッションを想像するのは難しい。
何てったってクアトロでは「幸せハッピー」というまったく予想外の曲が取り上げられたので、
この日も色々な意味で期待と不安(笑)を、あえて楽しみにしていた。
はたして…「探偵物語」と「思秋期」という、やはり予想外の曲。
しかし二人にはハマり過ぎていた。
斎藤さんのベースと小池さんのギターが真理子さんのピアノに加わることで、
音もシンプルながら分厚く、心地よく、カッコよく、美しくと、聴きごたえがあった。
歌う人によっては、カラオケになるパターンもあるだろうが、
この名曲を名曲のまま、名曲として提示できるステージの4人が素晴らしかった。

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それにしても、あらためて真理子さんの松江ライヴはいいなぁ。
今後も開催される限り、足を運びたいと思う。

QUATTRO MIRAGE EXTRA ~ROLL OVER 60~ 浜田真理子×畠山美由紀 渋谷クラブクアトロ 2016.6.22

僕が観ていない最近のライヴでは、何やらアルバム制作の話題が出ているような…。
こんな情報をキャッチしたことで、
やはり最近のライヴで発表されている新曲の素晴らしさを感じていたこともあり、
大きな期待を持ってクアトロに向かった。

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一部は畠山美由紀さん。
小池龍平さんのギターとコーラス。
そして織原良次さんのフレットレス・ベースのトリオ編成。
ギターがバックに回り、ベースがリードをとるという演奏は新鮮で、
そのアレンジで聴く真理子さんの「あなたへ」のカヴァーは聴きごたえがあった。
畠山さんは『歌で逢いましょう』のレコ発イベントやARABAKI ROCK FESで観ている。
それぞれが違った音を聴かせてくれていた。
かなり広い音楽的なふり幅を持っているんだと思う。

さて、二部はいよいよ真理子さん。
何の演出もなくステージに登場し、ピアノに座る。
こちらもリラックスして演奏が始まるのを待つ。

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オープニングのピアノだけでは何の曲が歌われるのかわからない。
しかし、突然それが「骨董屋」のイントロになる。
その場が一瞬のうちにハマダマリコの世界に変わる。
真理子さんのライヴでは何度か体験してきたこうした瞬間の、実に何とも言えないカッコよさ。
ステージ上で真理子さんが浮かべる笑顔とは違う理由で僕も笑顔になるのがわかる。

さて、今年になってから僕が強く感じているように、既発曲はかなりスローなテンポで歌われる。
この日は「骨董屋」と「ミシン」にこれがとても効いていて、
特に後者の終盤にスピードがあがるアレンジにバッチリとはまっていた。

「Guess who I saw today」という曲が素敵だった。
冒頭で真理子さんが歌詞の和訳をピアノに乗せて語る。
立ち寄ったカフェで見たカップルについて夫(?)に語るという内容で、
最後に " 私が見た(会った)のは誰だと思う? あなたよ " で終わるのだが、
語るというよりもメロディがないだけで歌われていたと言っていい。
それにしてもここでの表現力はどうだ。
そのストーリーも相まって、最後の " あなたよ " はゾクゾクしてしまった。
真理子さん、朗読も絶対にイケルと思うな。

ライヴは僕が期待していた内容…期待と言うのは新曲中心というライヴだったが、
そんなプログラムではなかった。ただ、ワンマンではなかったし、
クアトロ店長の還暦祝いと言うテーマ上、これは致し方なかっただろう。
しかし、本編最後にふたつの新曲を持ってきたところは意志だったはずだ。
これまで歌われてきた新曲を思い浮かべ、それを単に並べただけでも、
既に僕の中では傑作になるのが間違いない新作を、期待して待ちたいと思う。

ここまででも二人に十分に楽しませてもらったのだが、
アンコールでは予想していなかった展開が飛び出した。
最後に歌われたのは、何と坂本冬美の「幸せハッピー」。
僕にとっては忌野清志郎の作詞、細野晴臣の作曲、
そして坂本冬美が歌の、HIS名義の名曲だ。
その曲を、浜田真理子と畠山美由紀が目の前で歌うのだ。

 幸せハッピー
 それこそがすべて
 どうだ どうよ
 いつも 今日も
 幸せハッピー

まさに幸せでハッピー。
楽しく、笑顔で終わる感動的な夜だった。
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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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