常夜灯 / 中島みゆき -2012-

39枚目(!)のオリジナル・アルバム。
まずはこのことに驚きと尊敬。
以前もここに書いたことがあるけれど、
アルバムのリリースはベストやライヴを含めれば50枚近いだろう。
その間にはシングルもコンスタントに発表している。
そしてライヴ本体はもちろん夜会のステージ。
忘れちゃいけないラジオのパーソナリティもある。
彼女はまったく止まることなく音楽活動を続けているのだ。

ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2012-10-24

部屋に流れた途端の懐かしさ…というか、
なかなかうまい言葉にできないこの感じ、この雰囲気。
ここ最近の新作に感じるこれこそがぼくにとっての中島みゆきの魅力のひとつだ。

しっとりと始まったと思ったら、あの迫力のある濡れたヴォーカルが聴こえる。
タイトル曲でもある「常夜灯」は歌詞を観ながら聴くと映像が浮かぶが、
常夜灯というのは街の灯りではなく、
あの人が消し忘れて行った灯りと歌われる。
秀逸な歌詞。
1曲目から盛り上がる。

このように歌詞に注目するのは毎度のことだが、ヴォーカル・スタイルも相変わらず。
アタマから3曲続けて聴く。4曲、5曲と更に続く。
すべてのヴォーカル・スタイルが違う。
いつものことだとわかっていても凄い。
まったく知らない人には同じ人が歌っているとは思えないかもしれない。

意識的なのか、核になるような曲であっても、
特にドラマチックなアレンジになっていないと思う。
アップテンポでキャッチーな曲も「恩知らず」以外は収録されていない。
ハードでロック的に盛り上がる曲もない。
マイナスな表現をすれば、最近作の中では地味な作品かもしれない。
確かに音はそうだと思う。
ただ、そのおかげで歌われていること…歌詞はこれまで以上に響き、沁みてくる。
いや、そうするためのアレンジとサウンドなのかもしれない。

音を流さずに歌詞だけをすべて読んでみた。
そこには音はいらないかも…なんてことさえ思ってしまう作品が並んでいた。
その後、音と一緒に再び目で追ってみた。
あぁ…やはりこれは歌詞…音楽。
中島みゆきの音楽なんだ。

 これまでも これからも みゆきの心歌は
 変わりなく 産み続けられていく あなたの奥底に届くまで。

CDの帯のコピーにはこう書かれている。
「風の笛」「月はそこにいる」のような曲が聴けるなら、
40枚も50枚も60枚ものオリジナル・アルバムを産み出し続けてほしい。
ココロからそう思う。

名作で傑作。
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恩知らず / 中島みゆき -2012-

ドラマの主題歌というのはすっかりお馴染み。
今のぼくはドラマに限らずTVをほとんど観ないのだが、
第1回にみゆき本人が出るというので観た。
中島みゆきが中島みゆきとして出ていた。
一瞬だし、そのシーンが無くてもストーリーには関係なかったけれど、
中島みゆきの魅力と特徴と存在感をバッチリと知らしめていたのはさすが。
楽しめた。

ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2012-10-10

聴けば一発でわかる中島みゆき節だと思うし、
アレンジも音もファンなら安心して聴けるとも思う。
よって、人によっては「またか…」とマンネリな感想を持つかもしれない。
ぼく自身は、まずはすんなりと曲に…音楽に入っていけることは大切だと思っている。
これまで彼女の新作のほとんどがこの状態で接することができている。
だから新作を聴いてマイナスな感想を抱いたことは、まず、ない。

とっつきやすくわかりやすいアレンジ。
聴きやすくおぼえやすいメロディとフレーズ。
これらがお馴染みの中島みゆき節として展開する。
シングルとしては言うことはないと思う。
しかし、やはりどうしたって歌詞が凄い。

この曲のPVは実にカッコイイのだけれど、
笑顔で " 恩を仇で返します " と歌われてもな…(笑)。
そんなところも含めて、すべてが中島みゆきな名曲だと思う。
早くライヴで聴いてみたい。

P.S.
カップリングされている「時代」のライヴ・ヴァージョン。
ツアー2010~2011からのテイクだ。
これは、ただただ聴くだけ。
そんな曲だし、それでいいと思う。

荒野より / 中島みゆき -2011-

中島みゆきに限らずだけれど、
新譜はマッサラな気分で聴きたいと言う気持ちがある。
レコードに針を落として…じゃなく、
CDプレーヤーにセットしてPLAYボタンを押し、
さて、いったいどんな曲が…という楽しみが新譜の醍醐味のひとつだ。

中島みゆきの新作は、アルバムのタイトルが先行シングルと同じであり、
しかもドラマの主題歌。
さらに、その曲がアルバムの冒頭を飾っている。

良くある構成だと言ってしまえばそうなのだが、
おかげで僕の期待と楽しみのひとつは消えてしまった。

中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2011-11-16

最初に不満を書いたが、それでもやはり、
これまで同様に中島みゆきは僕にとってのストライクを投げ込んできた。
そしてやはり、これまで同様に様々な球種とスピードを使い分けているし、
新しいボールだけでなく古いボールも取り混ぜている。
古いボールというのは決してネガティヴな意味ではなく、
例えばそのひとつは、どこからどう聴いても中島みゆきなメロディの部分を指す。
これをマンネリ、ワン・パターンで片付けるとしたらまったくつまらない。
だって、これは中島みゆきのアルバムなのだ。
中島みゆきが2011年の中島みゆきの音楽を新作として鳴らしているのである。
素晴らしいことだと思う。

とにかく聴き応えのある11球であった。
そして、僕にとってのここぞの決め球は「走(そう)」だろうか。

言葉は怖い。
リアルでもネット上でも、どこかで誰かが発した言葉が、
別のどこかで誰かを傷つけているということがある。
あるだろう…とか、あるかもしれない…ではなく、ある。

僕がそうだからだ。
嫌な思いをするし、したし、させられたからだ。
見たくなくても目につくことはあるし、聞きたくなくても耳にすることがある。
例え自分に向けられた言葉ではなくても、
それを見て読み、耳にして聞くのは生身の人間なのだ。

何を言うのかではなく、それをどのように言うのか。
言い方、書き方、発し方は人間性がハッキリ出ると思っている。
そして、僕が見て読み、耳にして聞いて感じたそれは、
僕の中で二度と絶対に覆ることは無い。

愛だけで走っていきたい。

夜会VOL.16 ~夜物語~ 本家・今晩屋/中島みゆき -2010-

ストーリー云々を超えて楽しめた 『夜会 VOL.15~夜物語~「元祖・今晩屋」』 であるが、
そのリニューアル版である 『本家・今晩屋』 が映像化された。

エイベックス・マーケティング
発売日:2010-10-13

中島発言から想像するに、再演ヴァージョンは初演と比べわかりやすくなっているようだ。
更に今回の映像作品にはセリフと歌詞が含まれた台本が付いているので、
じっくりとストーリーを追うことができ、理解するのに役立つかもしれない。

でも、それでも僕が今回の作品になった今晩屋を観て思うのは、
やはりストーリーを超えた、演劇化された音楽の素晴らしさだった。

これは、やばい。
本当に、やばい。

どちらかと言えば前半に多いが、中島みゆきによるコミカルな演技やセリフ。
これは不要だろうと思われるほど、後半のクライマックスがとんでもない。
生で観たときも感じたけれど、こうして家のモニターで観ても、
ここは変わらぬどころか、感動が更に増している。

歌われる曲は、アルバム 『DRAMA!』 に収録されていないものも含め、すべてが良い。
メロディ、アレンジなど、ほとんどすべてが、
僕自身は生理的に完全に受け入れることができる曲だらけである。
こんな作品に出会えることは、そうそう無い。
その意味で、僕にとって音楽的に素晴らしい作品となることは決定していたのだろう。
ツアーでもここで使われた曲を是非、披露して欲しいもの。

さて、冷静に観て感じ、思ったことのひとつに、舞台の美しさがある。
実際の会場とは違い、様々なアングルで鑑賞できるので、尚更。
青と赤の対比が素晴らしい。

それにしても「十文字」以降の展開は凄い。
他の出演者がステージにいても、ここは中島みゆきの独壇場だ。

「ほうやれほ」には、不覚にも泣いてしまった。
ラストで「百九番目の除夜の鐘」のフレーズが被さってくるところは圧巻。
そこから「十二天」に繋がる美しさと感動には言葉を無くす。
これまでの夜会やライヴをほとんど体験していない僕が言うのは、
何とも説得力が無いかもしれないが、それでも言いたい。
この「ほうやれほ」から「十二天」の流れは、中島みゆき史に残るのはもちろん、
夜会を代表するシーンのひとつになるのではないか。

ラストの「天鏡」に着地したときに感じる感動。
感動という簡単な言葉で書いてしまうけれど、僕のココロが動いた幅や大きさは半端ではない。

『夜会VOL.16 ~夜物語~ 本家・今晩屋』 。
傑作だと思う。

真夜中の動物園 / 中島みゆき -2010-

1曲目の「今日以来」が部屋に流れた瞬間、やたらと懐かしい気持ちに見舞われた。
もちろん2010年10月13日発表の新作であり、鳴っているのは今の音だけれど、
80年代前半の…例えば 『予感』 や 『寒水魚』 辺りがいちばん相応しいと思うのだが、
そんな雰囲気を感じるスタートだ。

中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2010-10-13

いきなり2曲目にアルバム・タイトル曲が置かれている。
タイトル曲だけあっての大作なのだけれど、近年のこういった核になるような曲は、
分厚い音とドラマチックなアレンジというものが多く、
当然のようにそれが聴きどころにもなっていたと思うのだけれど、今回は違う。
簡単に表現してしまうと " 風通しが良い " になるだろうか。
これはこの曲だけでなく、アルバム全体のトーンのような気がする。
1曲目を聴いて感じた懐かしさというのは、こんなトーンから来ていたのだろう。
だから " さぁ、盛り上がる曲が出てくるぞ " と構えていると肩透かしをくらうと思う。

もちろん聴き応えがある曲が並んでいるのだけれど、
それらが小品のように感じられるということが素晴らしいと思った。
素敵な小品たちが集まって、ひとつの大きな作品を形作っているような感じだ。
よって、力まずに、構えずに、でもじっくりと向き合える作品になっている。

収録曲のタイトルを見るだけでも凄い。
これだけで中身をいくらでも想像できそうだけれど、実はそれは難しい。
だって「ハリネズミだって恋をする」というタイトルだけで、何を思うのか。
「サメの歌」と聞いだだけで、何をイメージするのか。
歌詞カードを見るのが楽しいと思えるアルバムというのも、最近はあまり無い。

この傑作を引っさげて、今月末からツアーが始まる。
今からわくわくである。

p.s.
ボーナス・トラックで収録された「愛だけを残せ」
映画 『ゼロの焦点』 の主題歌だった曲だ。
既発シングルはあくまでも映画を前提とした表現であり、
中島曰く " 映画と絡まない歌単品になった場合、あのカタチでは無いなと… " らしい。
ここに収録されたのは、その歌単品となったヴァージョン。
個人的にはあちらのアレンジも良いと思うが、こちらも素晴らしい。

DRAMA!/中島みゆき -2009-

前半の6曲が、吉川晃司主演で、杉原千畝をモデルにしたミュージカル「SEMPO」。
後半の7曲が「夜会VOL.15~夜物語~元祖・今晩屋」で歌われた曲で構成された、
中島みゆき、何と36枚目(すげぇ!)のオリジナル・アルバムが発表された。
タイトルは『DRAMA!』。

中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2009-11-18

僕は「SEMPO」を観ていないので、前半は何の先入観も無く耳を傾けることができた。
1曲目から、いきなりアルバムのエンディングを飾ってもおかしくない大作である。
短い曲でも、メロディーの展開が絶妙で組曲風に聴こえるというのが、
中島みゆきの名曲の特徴のひとつだと僕は思っている。
オープニングの「翼をあげて」からして、まさにそんな曲である。
これ1曲を聴いて、『DRAMA!』が僕にとっての傑作だということが決まった。

アルバムを聴き進んでいくと、どれもこれもがドラマチックな曲ということがわかってくる。
派手なビートでガンガンくる曲は無いが、ドッシリと重い曲ばかりであり、
単に流して聴くような気は起こらず、真剣にその音と対峙させられるようだ。

では、聴くのに疲れてしまうのか…ということはまったく無いと、僕は思う。
素晴らしいのは、変に気負うようなところはなく、不自然な大袈裟さも感じられず、
すべてがファンを裏切らないであろう中島みゆきのメロディであり、
誰もが聴きやすくコマーシャルなアレンジであるということだ。

前半のクライマックスである「NOW」は凄い曲だ。
このアルバム中、最大の聴きものかもしれない。

中盤以降は、僕も観た夜会からの曲なので、こうした作品化は嬉しく思う。
美しいメロディが切ない「十二天」。一転しての迫力ある歌唱が素晴らしい。
印象的なフレーズとメロディがココロに残っていた「らいしょらいしょ」。
夜会で聴いた限りでは単なる小品的に感じた曲も、こうして作品として発表されると、
聴き応えがある立派な1曲となっているのが不思議だ。
テーマ曲とも言える「暦売りの歌」は、実に中島みゆきらしいPOPな楽曲であり、
夜会から切り離して、シングルになったとしてもおかしくない名曲。
「百九番目の除夜の鐘」は、そのリフレインがアタマにこびりついて離れない…と、
このまま全曲コメントしたくなるな。

ラストの「天鏡」を聴き終えたら、また夜会でこれらの曲を聴きたくなってきた。
現在、まさに再演真っ只中の 『今晩屋』 だが、映像作品にならないのかな?

歌旅 中島みゆきコンサート・ツアー2007 / 中島みゆき -2008-

それにしても、何と感動的なライヴ…というかツアーだったんだろう。


ライヴ・シーンの合間には様々なオフ・ステージの映像が挟み込まれる。
ツアー開始前と開始後のリハーサル・シーン。
そしてツアー開始後のバック・ステージや移動時などのシーン。
ただでさえコンサート・ツアーの映像作品は初なのに、
こういった実に貴重なシーンがたっぷりと収録されているのは嬉しい。
よって、観ているあいだは一緒にツアーを廻っているような気さえした。
また、この部分だけはモノクロの映像なので、特に船での移動シーンでは、
僕は『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』を思い出してしまった。

さて、そんなリハのシーンでいちばん印象に残ったのは、
リラックスした中島みゆきの姿はもちろんなのだが、
何と言っても音楽プロデューサーである瀬尾一三が飛ばす指示である。
特に厳しくてヘヴィなシーンばかりが観られるというわけではないけれど、
音楽に対する妥協の無い姿勢が伝わってくるそれは、もうひとつの見所だろう。

肝心のライヴ本編は、実に感動的だ。
前半、中盤、後半それぞれで、必ずドラマチックな曲が歌われている。
おかげでDVDをどこから観たとしても、そこがハイライトだと言えそうである。
そして全編に流れる、何というか、ある種の切なさ…と言ったら良いのだろうか。
これがロック・バンドのライヴDVDだとしたら、
もしかしたら解散するんじゃねぇか?と思ってしまうかもしれない…という切なさ。
そんな雰囲気を感じてしまうファンもいるんじゃないかなぁ。

中島みゆきによるMCは一切…いや、ほとんど収録されていない。
観る前に思っていたことのひとつは、
ステージの一部とも言えるあのMCをどうするのか…だったが、
この編集は成功だと思う。
少なくとも僕にとっては、だけれど。
だってあのMCを楽しみにしているファンも多いだろうから。

  同じ時代に生まれてくれてありがとう

MCは一切ではなく、ほとんど収録されていない…と書いたのは、
「重き荷を負いて」の前に発したこの言葉だけが唯一収録されていたからだ。
でも、これだけで十分だろう。

     **********

吉田拓郎のカヴァー「唇をかみしめて」の前に映るのは、おそらく広島の街だ。
この辺の編集は気が利いているな。

そして、あらためて思ったのが、ここからラストまでの物凄い展開である。

まず「ファイト!」。
ベースのみで淡々と歌いだされるのだが、ストリングスを効かせたアレンジが素晴らしい。
曲がクライマックスに向かって盛り上がっていく様は圧巻で、
国際フォーラムで僕の隣で観ていた男性が発した「すげぇ」という言葉を思い出した。
続く「誕生」は、その歌詞からも、ツアーのテーマ曲と言ってもいいかも。
ただでさえ感動的な大作なのに、こういった流れの中で聴くとそれは確実に倍増する。
この二曲の大作連発は、DVD最大の見物かもしれない。

こういった曲の合間で歌われる「I Love You, 答えてくれ」「ボディ・トーク」「本日、未熟者」の、
現時点での最新作収録曲のカッコよさも再認識。
本編ラストの「重き荷を負いて」でのヴォーカルも貫禄。
そしてアンコールでのヘヴィな8ビートが気持ちよい「地上の星」から、
一転して「背広の下のロックンロール」に変る見事なコントラスト。

怒涛のクライマックス。
本当に物凄い展開である。

     **********

実に収録時間158分の二枚組だが、
一気に観てしまった…いや、目を離せなかったというのが実感。

2007年に行われた中島みゆきの全国ツアーのうち、12月18日、19日を収録。
日替わりで歌われた6曲のうち、
「EAST ASIA」「ホームにて」「蕎麦屋」の3曲が同時発売のCDのみの収録となったが、
ツアーのメニューは全19曲、完全収録である。


中島みゆき(2008-06-11)
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コンサート・ツアーの初映像作品としては、待った甲斐が十分にあったものだと思う。
ドルビー・デジタル5.1CH音声も収録されており、
期待以上の作品として届けてくれた中島みゆきに感謝。

ところで、アンコール一発目の「本日、未熟者」の前のシーン。
オープニングの「御機嫌如何」のイントロが始まり、
ステージに出て行く前と、出て行く瞬間の中島みゆきを捉えた映像がおさめられている。
DVDのエンド・クレジットの最後も、そんな場面だ。
これは何かしらの意味を持つのかもしれない。
だって、158分中ココロに残った色々なシーンの中で僕がひとつ挙げるとしたら、
ライヴ本編を抑えてでも、おそらくこれである。

中島みゆき、カッコイイ!

テーマ : 女性アーティスト
ジャンル : 音楽

夜会VOL.5 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に/中島みゆき -1994-


/ ヤマハミュージックコミュニケーションズ(2000/11/22)
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  舞台はカフェテラスのテーブル。
  「待つ」ことをテーマに、様々な「待つ女」を演じながら、「待たない生き方」を表現している。

これは、この作品について夜会DVDのパンフレットに書かれたコメントだ。

季節は春から始まるのだが、その後は冬、秋、夏と逆さに進み、
それぞれ四人の待つ女性を、中島みゆきが演じる一人芝居。
四季の部分は歌われる曲の内容を知っていればストーリーは追えると思う。
しかし、夏が終わった後の、時間泥棒の部分はかなり難しい。

終盤で出てくるこんなセリフが大きなテーマかもしれない。

  月の夜と、雨の夜は、恋の願いが成就する晩
  ましてや「待つ」と「待たない」の間にあった時間を取っ払った雨月の夜なら
  あとに残るのはただひとつ
  逢うことだけ

クライマックス。
「愛よりも」を熱唱した後、「人待ち歌」から「夜曲」に乗って月に向かって登っていく。
感動的なシーンだ。

  来る、来ない 来る、来ない
  待つ、待たない 待つ、待たない
  逢う、逢えない、逢う

ここぞというところで歌われる「人待ち歌」の一節も効いている。

この作品を観たら、唐突だが仲井戸麗市が古井戸時代に書いた文章を思い出した。

  僕はいったい何を待ってるかもわからないような “ 待ちぼうけ ” を知っている
  ひどい時は、待つという行為なき行為の終るのを待ってる、そんな待ちぼうけをも知ってる
  “ 待たせる ” も “ 待つ ” も、とにかく会えないという事はいやです。
  僕はまたそのいやな事を続けて行きそうな気がしています。

                                  ※以上『だんだんわかった』から引用

僕も待つのは嫌だ。逢えないというのは、もっと嫌だ。

夜会VOL.4 金環蝕/中島みゆき -1993-

先月、中島みゆきの『夜会』のDVDを大人買いしてしまった。

CIMG6455.jpg

とても一度には観ることはできないし、もちろん流して観るなんてこともできないから、
観る時はそれなりの覚悟(笑)を持って2時間を過ごさなければならない。
過去に観たことがあるのは『夜会1990』と『夜会VOL.3 KAN邯鄲TAN』の初期2本と、
最新作である『夜会VOL.13 24時着0時発』の3本。
特に観る順番を決めていたわけじゃないけれど、一応順番通りにVOL.4である『金環蝕』を観た。


/ ヤマハミュージックコミュニケーションズ(2000/11/22)
Amazonランキング:13044位
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金環蝕(金環食)というのは、月が地球と太陽のあいだに入ることにより、
周りが金の輪のように見える日食のことらしい。
ただし、テーマはアマテラスオオミカミ。
中島みゆきによれば、古事記の中の天の岩戸の場面をモチーフにし、
" 日本の女ってどんな女? " というのを言いたかった…とのことらしい。
何も知らずに観たらあまりピンと来ないだろうが、事前にこういったテーマを知っていれば、
ずいぶんわかりやすくなるかもしれない。
でも、中島みゆきが演じるアマテラスオオミカミと現代の天文学者(?)の対比など、
夜会は観る側にも偏差値が求められる(笑)…という評を何かで読んだことがあるが、
やっぱりやさしいものでは無いかな。

僕自身は、あまり深読みせずに、
テーマに沿った演劇風なコンサートという視点で楽しむようにしているけれど。

このDVDは、実際の舞台映像だけでなく、ロケで撮影された映像が加わっており、
単なるライヴを撮ったものではなく、ひとつの映像作品として制作されている。
よって、僕が過去に観た作品とはずいぶん印象が違う。
実際にセリフも格段に増えており、単に曲だけでストーリーが進んでいくのではない。
でも、各場面だけを別個で観ても、それぞれ十分に楽しむことができる。
選ばれている曲も絶妙で、新旧取り混ぜてあるが何も違和感は無い。
観る人によってその受け取り方は違うだろうけれど、
曲が変わることに様々な日本の女性が描かれていくのは見応えがあると思う。

それにしても、夜会はすべて生演奏なのだが、バンドはステージの下である。
この時期の中島みゆきバンドはギターに鈴木茂と吉川忠英、ベースに富倉安生、
ドラムに島村英二、パーカッションに斉藤ノブなど錚々たるメンバーなのだが、
演奏する彼らの姿を観客は観ることができないわけだ。
何とも贅沢でもったいなくて、凄い使い方であるなぁ(笑)。

さて、この作品の見所は、何といっても全編で踊りまくる中島みゆきだろう。
元になっているのが何かはわからないが、振り付けなのかアドリヴなのか、
アジアン・テイストで何とも不思議なダンスを見せてくれる。
特に後半の「EAST ASIA」から「DIAMOND CAGE」まではなかなか凄い。

この時のテーマになっているのは「泣かないでアマテラス」という曲だ。
クライマックスは現代の天文学者(?)姿の中島みゆきが、金環蝕について語るシーン。
語り終わると音楽が消え、中島みゆきはモールス信号を打つように床を叩く。
そこにリズム隊が小さくかぶさってくる。
床を叩くのはいつの間にか踵になっている。
這いつくばるように、静かに「泣かないでアマテラス」を歌いだす。
途中で白衣を脱ぎ、真紅のドレス姿になる。

このラストは最大の見ものだ。
不思議で奇妙なダンスをしながら壮大に盛り上がっていくこの曲を熱唱する姿には、
ただ圧倒される。そして、とても感動的だ。

  悲しみは誰をも救わない 憎しみは誰をも救わない
  私には何もない 与えうる何もない
  君をただ笑わせて 負けるなと願うだけ

  地上に悲しみが尽きる日はなくても
  地上に苦しみが尽きる日はなくても
  それに勝る笑顔が一つ多くあればいい
  君をただ笑わせて負けるなと祈るだけ
  泣かないで 泣かないで 泣いて終わらないで   ※「泣かないでアマテラス」から引用

中島みゆきファンにはそれぞれ感動号泣ソング(笑)があると思うが、
もし、そんな曲の投票を行ったとしたら、
この「泣かないでアマテラス」はかなりの上位に選ばれるんじゃないだろうか。
『金環蝕』のストーリーに沿ったテーマ云々だけではなく、これは普遍的な名曲だと思う。

     **********

ところで、この曲を歌うラスト・シーンでのステップ。
これを観て思い出したのが「おだやかな時代」だ。
似たようなリズムなので、「おだやかな時代」のヴィデオでも共通したステップが観られる。
特に意味は無いのだろうが、何か関係性があるように思えてしまった。

I LOVE YOU,答えてくれ/中島みゆき -2007-

前作 『ララバイSINGER』 を作る時点で、
今回の新作に収録されたものを含めて、曲が既に揃っていたそうである。
それらの曲を二つに振り分けた結果が、この二枚らしい。
『ララバイSINGER』 は何となく重い雰囲気が感じられる作品だったが、
『I LOVE YOU,答えてくれ』 は、全体的に突き抜けたような曲が並んでいる。
これは意識して曲を選んだためだろう。
ということは、性質は違うが、この二枚はひとつの作品として考えられるかもしれない。

発売前から " ロック " というキーワードがあったから、僕自身はかなり期待していた。
はたして出てきた音は、ミディアム・テンポな8ビートの骨太なサウンドであった。
聴く前には「早いテンポの曲が並ぶのかな…」なんて想像していたので、これは少し肩透かしだった。
まぁ、これは中島みゆきのお得意なアレンジであるので安心して聴くことができるのだが…。

ただ、過去に聴いてきたそれとはちょっと質が違うような気がする。
アルバム全体でフィーチャーされているわけではないのだが、
とても効果的に響くサックスにトロンボーン、トランペット。
このアレンジがなかなかポイントになっていると思う。
これがそんな理由のひとつかもしれない。

また、ヴォーカルも強力で、良い意味でラフなみゆき節を全編で聴くことができる。
けれど決してヘヴィにならず、開放感があり、気持ちが良い。
泣きのマイナーなメロディが少ないのも、そんな風に感じる要因でもあるだろう。

収録曲では、ストレートな曲達のど真ん中に位置するゴスペル風味の 『Nobody Is Right』 がいい。
名曲である。

アルバム 『ララバイSINGER』 と 『I LOVE YOU,答えてくれ』 は、
コンサートでやることを前提にして作られたという。
明日、遂に体験することができる中島みゆきのライヴ。
これらの曲がどのように演奏され、歌われるのか。

今夜は寝られないかもしれない(笑)。

中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
発売日:2007-10-03

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Blue

Author:Blue
1980年4月5日からスタートしたGREATな体験。それは見事に現在に至るまで続いています。

" 君の手を握りたいんだ 君の手を握りしめたいんだ 君の手を握りしめていたいんだ そう いつかのメロディーに聞いた "

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