おあずけとなった夏

日比谷公会堂・大音楽堂の公式ページには、
簡単ではあるが、それぞれの会場でのEvent情報(予定)が掲載されている。

その、日比谷野外大音楽堂の2006年8月20日欄にはこう記されてあった。

  忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 仲井戸 ”CHABO” 麗市
  06 YAON NOTHIN' BUT A TON OF JOY

RCサクセション時代から、夏の野音と言えば忌野清志郎のライヴであった。
その夏の野音でのライヴで、仲井戸麗市と新井田構造との共演が発表されたのである。

この野音ライヴの前には、同じメンバーでFUJI ROCK FESTIVAL、
更にRISING SUN ROCK FESTIVALへの出演も決まっていたが、
僕にとっては何と言っても日比谷野音であった。
しかもKING OF LIVEとして80年代を駆け抜けたRCサクセションのメンバーのうち、
三人が16年ぶりに夏の野音のステージに揃うわけである。
冷静でいろと言うのは無理であった。

しかし、2006年7月13日
日比谷野外大音楽堂Event情報の2006年8月20日欄はこう変わった…。

  忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 仲井戸 ”CHABO” 麗市
  06 YAON NOTHIN' BUT A TON OF JOY
  ※忌野清志郎 氏 急病のためこの公演は中止となります。(詳しくは、コチラ)

話は飛んで…。

今年2月の完全復活祭でのブルーノート東京公演後、
某スポーツ紙記者の方から頂いた情報の中に、
ブルーノート・スタッフの清志郎への想いも一際…という印象的な内容があった。

これは清志郎だけでなく、僕はチャボにも共通することだとも思うのだが、
その会場のスタッフ…要するに会場が清志郎やチャボに惚れてしまうということ…だ。
こういった会場…ホールやライヴハウスは、おそらく日本中にあるんじゃないかと思うが、
ブルーノート東京もそんな例に漏れず…だったわけだ。

そして日比谷野外大音楽堂も、僕はそんな会場のひとつだと想像する。
その理由は…。

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新ナニワ・サリバン・ショー 2006.2.25.大阪城ホール

大阪城ホールは初めてなので、まずは会場の印象から。
日本武道館と横浜アリーナを足して二で割ったような会場だ。想像していたよりもでかい。
メインのステージとは別に、アリーナ後部にサブ・ステージが設置されていた。
ただ、サブ・ステージを良いポジションで観られたことを差し引いても、
あの会場セッティングでメイン・ステージを観るには、
アリーナ後部座席は観にくかったんじゃないかと思う。
間にPA卓もあるしね。
まぁ、ここの会場だけではないが、
アリーナ部を緩やかなスロープにして後方を観やすくすることを考えるイヴェンターが無いのが不思議だ。
もう少し観客のことを考える方向になっていかないものだろうか。

さて、清志郎以外の出演者(チャボを抜かす)目当てのファンがどれくらい来ていたのかは知る由も無いが、
いまだにこれだけのハコを埋めてしまう忌野清志郎という男に驚く。
立見のチケットが販売された割には超満ではなかったが、それでも十分に埋まっていたと思う。

僕はスタンド席だったが、
ラッキーなことに持っていった双眼鏡は必要が無かったほどのグッド・ポジションだった。

定刻から五分ほど遅れてスタート。オープニングは「ナニワ・サリバン・ショーのテーマ」。
最初から清志郎が全開で盛り上げてくれた。
一時期は渋谷陽一に「清志郎は動けなくなった」と言われ続けていたが、いやいや十分ですよ。
少なくとも「動けなくなった」ときからさらに動けなくなってはいないし、
他にこんなロック・ヴォーカリストはいない。

ゲスト陣で印象的だったのは、まずハナレグミの「君が僕を知ってる」。
スローなアコースティック・ヴァージョンだったのだが、
これが曲の良さだけを抽出したような素敵なカヴァーだった。

元気な山下久美子を久々に観られたのも嬉しい。
彼女の「たとえばこんなラヴ・ソング」は、金子マリが歌うのとはまた違う魅力がある。
そして本家に負けないマント・ショーを観せてくれたのもよかったなぁ。
清志郎に”クイーン・オブ・ロックン・ロール”と紹介されていたが、
そうなんだよ、久美子はロックン・ロールなんだよ。
何てったって”総立ちの久美子”だぜ。知ってるか?

個人的に楽しみにしていたHIS。
実はメインに近い扱いがされるんじゃないかと思っていたのだが、
サブ・ステージで軽く演奏して帰っていった。
清志郎と細野晴臣は学ラン、坂本冬美はもちろんセーラー服。
バック・メンバーもコシ・ミハル、高野寛、浜口茂外也、吉川忠英という凄い顔ぶれだ。
あまりにもサラリとし過ぎて正直気が抜けたが、ベースを弾く細野晴臣、
さらにヴォーカルもとる細野さん。
これを観ているということは、実は物凄く貴重な瞬間に立ち会えているんだと思ったのだが、
そんなことをまったく感じさせない雰囲気だった。まぁ、元々HISはそんなユニットだったけどね。
ちなみに坂本冬美のヴォーカル、最高でした。声の通りが凄い。
ノドの鍛えられ方が他の出演者とはまったく異なっているんじゃないでしょうか。

矢野顕子は、何を演ってくれるかがわかっていても良かった。清志郎との「ひとつだけ」。
この曲は、80年代アタマのヘンタイよいこ集会で二人が共演した時からの持ち歌みたいなもの。
今回はピアノだけで歌われた。また、清志郎は歌詞を「〜ぜ」と歌わず、オリジナルに沿って歌っていた。

そうそう、GO!GO!7188。演奏した曲は2・3'sの「Let'sGo(IKOHZE)」。
そして「芸術家」!!!
清志郎ファンからもダメ出しをくらっているバンドの曲を演奏。
しかも「芸術家」は清志郎では無く、ベースのアッキーの曲である。
この選曲で参加した意図とスタンス。
ロックだ。

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1994.6.25. 渋谷公会堂

RCサクセションの活動休止以降、清志郎とチャボの正式な共演はありそうで無かった。
それどころかお互いの充実したソロ活動により、
僕は二度とふたりが並んで立つ姿は見られないと思うようになっていた。
マイペースで広い範囲で活動する清志郎と、マイペースで限られた範囲で動くチャボ。
ビートルズ解散後のジョン・レノンとポール・マッカートニーを勝手に二人に重ね合わせていたものだ。
別に共演を強く望んでいたわけではない。だってレノンとマッカートニーなのだから、あり得ないだろうと。

もちろんお互いのライヴは欠かさず足を運んでいたからその日もそんな中のひとつであったし、
いつものようなライヴになるはずであった。

渋谷公会堂は満員である。
忌野清志郎・スクリーミング・レヴュー。94年6月25日。
オープニング、アコギを抱え、頭を花で飾った清志郎が歌いだす。
ソロの曲、RC時代の曲、泉谷しげるのカヴァー等も含め、かなりのサービス・メニューで進む。
バック・メンバーは大所帯であるが、音は決して派手ではない。盛り上がる。

今のこのネットの時代であれば、情報はかなりのスピードで伝わるし入手できるので、
例えばその気になればライヴを観る前に、そのメニューなんかを知ることができるだろう。
どのくらいの人数かはわからないが、この時もそれを知っていた人はいたのだとは思う。
しかし残念ながら、いや、ありがたいことに僕はそれを知らなかった。

アンコールで清志郎に紹介されステージへ出てきたのは、仲井戸麗市であったのだ!

その時の会場の雰囲気、僕自身の感情をうまく言い表せることは絶対にできない。
あえて言うとしたら、表すとしたら ”!” である。
驚きと喜び、嬉しさはもちろん、疑問やもしかしたら悲しみや怒り(笑)もあったかもしれない。
そんなのを全部ひっくるめての ”!” だ。
ただし、僕の表情はとびきりの笑顔だったであろうことは自信を持って言える。

二人によって目の前で演奏されたのは「君が僕を知ってる」。

  何から何まで君がわかっていてくれる
  僕のことすべてわかっていてくれる
  上から下まで全部わかっていてくれる…

RC活動休止後、初めての共演で二人はこう歌ったのである。

このコンサートの模様はヴィデオになって発売され、二人の共演も収録された。
今ではDVD化もされている。映像として残された事は本当に素晴らしい。
しょっちゅう観るわけでは無いが、今でも観るたびに涙腺が緩む。
そりゃそうだろう。僕らの時代のレノンとマッカートニーが共演したのだから…。

そしてこの後、二人はTVでの共演を挟み、真夏の臨時ニュース、
あの「GLAD ALL OVER」へなだれ込んでいくのだ。
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     向日葵の舟に揺られて

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Author:Blue
仲井戸麗市と忌野清志郎。この二人にはその音楽だけでなく、全てにおいて大きく影響を受けています。
僕の十代は1980年4月5日の久保講堂から始まりました。

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